急速に進化した慢性腎臓病の治療。専門医「1983年に人工透析の開始年齢は平均52歳だったが今では…」注目すべき<新薬>と<運動療法>とは?
日本の20歳以上の慢性腎臓病(CKD)の患者数は、約1480万人と推定されるそう。腎臓は「沈黙の臓器」と言われ、気づかないうちに悪化してしまうおそれがありますが、東北大学名誉教授の上月正博先生は「かつて<不治の病>とされてきた慢性腎臓病は、運動と食事で<治せる病>になりつつある」と語っています。そこで今回は、上月先生の著書『腎臓の名医が教える 腎機能 自力で強まる体操と食事』から一部引用、再編集してお届けします。 【表】慢性腎臓病や合併症の治療で用いられる主な薬 * * * * * * * ◆腎臓病の治療は急速に進化している 健康に長生きするためには、慢性腎臓病は警戒すべき病気です。 幸いなことに、慢性腎臓病への治療は急速に進化しています。慢性腎臓病は早期に発見し、治療を進めれば、もう不治の病ではないのです。 運動療法もその大きな進化の一つですが、ほかにも進展が見られます。その一つが、人工透析を開始する時期の変化です。 例えば、1983年の人工透析の開始年齢の平均は52歳でした。 それが、2021年には、平均71歳になっています。この40年で、20歳近く開始年齢が遅くなりました。 腎臓の治療が効果を上げるようになり、人工透析の開始時期を遅らせることが可能になったのです。
◆生活習慣病との関係 また、人工透析を受ける患者さんの平均年齢も、後退しています。 やはり1983年、患者さんの平均年齢は48歳でした。それが、2022年には、71.42歳です。40年前に比べて、なんと23年も平均年齢が長くなりました。 治療薬の進展があり、人工透析を受ける人の健康状態のコントロールができるようになったのです。40歳代で亡くなるような例は少なくなり、多くの人が長生きできるようになりました。 慢性腎臓病は生活習慣病と密接につながっています。持病の生活習慣病が悪化すれば、腎機能にも悪影響が及びます。 高血圧、糖尿病、脂質異常症という生活習慣病の治療のために有効な薬が生まれ、使われるようになりました。投薬治療によって、生活習慣病が改善する人が増えたのです。 その結果、腎臓の状態にもいい影響を及ぼすようになりました。
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