【初代X5物語】SUVという形をしたドライビングマシン 25年前に生まれたBMW X5(E53)とはどういう車だったのか?
スポーティーなエンジン
4.6リッターのV8エンジンは、停止しているとゴロゴロと音を立て、泡を吹き、喋り出す。腕の毛が逆立つ。アクセルを踏み込むと、まるでカモシカに飛びかかろうとするライオンのように荒々しいサウンドを響かせる。しかし、よく考えてみると、それは今日では珍しく、奇妙な感覚だ。8気筒ガソリンエンジンと大排気量。1999年のデトロイトモーターショーでBMWが「X5」を発表すると、その年には米国で、2000年5月にはドイツで発売開始された。当初は2種類のガソリンエンジンしかなかった。3リッター直列6気筒エンジン(231馬力)と、開発初期段階にあった4.4リッターV8エンジンだ。V8エンジンはその後さらにパワーアップし、市場投入から1年後には、より経済的な3.0リッター直列6気筒ディーゼルエンジン(当初は184馬力)が追加され、2003年からは218馬力にパワーアップした。
出発前に、我々は歴史を振り返るためにバックミラーを覗き込み、2000年代初頭のIAA(フランクフルトモーターショー)でグリーンピースが自動車を沈めることはなく、また「パーティーは終わった!」と叫ぶこともなかった。いや、今まさに始まろうとしているのだ。歓喜のエンジンは「M62B46」と呼ばれ、アルピナでパワーアップが施されている。ちなみに、「E39-M5」のエンジンも「M62」ファミリーであるため、「X5」には本来「M」の文字が付けられるべきだが、当時はまだ許されていなかった。アクセルを踏み込み、驚嘆する。0から100km/hまでの加速が6.5秒というのは、22年経った今でも素晴らしい。5速オートマチックトランスミッションは、当時の基準ではスポーティーなパフォーマンスにチューニングされており、エンジン回転数を上げることも可能だ。しかし、最大480Nmのトルクはわずか3700rpmで得られる。 彼らはX5にモノコックボディを採用したが、これはスポーツドライバには好都合だが、オフロードで遠回りするのが好きな人には不都合だ。確かに18cmの地上高があるので、凸凹の田舎道を走るには十分だが、ラダーフレームを持つ本物のオフロード車と比べると、丘や谷を越える力はない。また、牽引能力は2.3トンで、X5が牽引できるのはせいぜい馬1頭分だ。