老親には"拉致車"にしか見えない…「介護施設に行きたくない」とゴネる親をデイサービスに通わせる方法
■介護される側の“意外な本音” 以前、認知症に関するワークショップを開いたことがあります。 そのとき、「親が認知症になったら、どういうサポートをしますか」と質問すると、返ってきた答えの多くは、「外出させないようにする」「老人ホームに入ってもらえるよう説得する」「同居を検討する」でした。 ところが、「自分が39歳で認知症になってしまったとしたら、どうケアしてほしいですか」と聞くと、「失敗を指摘しないでほしい」「今まで通り接してほしい」だったんです。これは、介護する側、される側の立場の違いで、思いがすれ違っていることの証しなのではないでしょうか。 親に介護サービスを使ってほしいと思ったとき、施設に入居してほしいと思ったとき、親の意思を無視して、自分の思いや都合を押し付けていないかを、子どもは冷静になって考えてみる必要があります。 ■親をその気にさせる“とっておきの方法” 「そろそろ親に介護が必要かもしれないと思ったら、介護認定を受けてもらいましょう」 そんなふうに書かれている介護の本をよく見かけます。介護認定を受けてもらって、要支援1や2などの認定が下りたら、介護サービスを利用することができるのですが、そもそも認定を受けるのを嫌がる親も多くいます。 そういう親をその気にさせるには、どうしたらいいでしょうか。 実は、とっておきの方法があります。それは、家族が説得しないこと。そして、何もしないで、本人が困るまで「待つ」ことです。本人が認定を受けたくないと言うのは、デイサービスもホームヘルパーも、今は必要だと感じていないからです。それなら、本人が必要だと思うまで待ったらいいのではないでしょうか。 本当に困れば本人から言ってくるでしょうから、先回りせず、ゆっくり、のんびり、期待しないで待ちましょう。それまでは、「介護認定を受けると、こんなサービスがあるみたいだよ」と、情報発信に徹していればいいと思います。 こんなケースがよくあります。認知症の傾向が出はじめた1人暮らしの母親から、娘のところに「不安で不安でしょうがない」「話を聞いてほしい」と毎日のように電話がかかってきます。 でも、娘が「そんなに寂しいなら、デイサービスに行ったら?」と言っても、「お金がもったいない」「今からそんな新しいことはしたくない」と、なんだかんだと理由をつけて、なかなか行こうとしません。どういうことかと言うと、お母さんは、ただ自分の不安を伝えたいだけなんです。