「なんだ、この匂いは…!?」年金月20万円・70代の父がポツンと住む実家、40代長男夫婦がアポなし訪問で驚愕した〈まさかの光景〉
既婚の中高年男性にとって、自分よりも妻が先立つという事態は想像しにくいことなのかもしれない。しかし、そんな「想定外」が現実になると…。実情を見ていく。 【早見表】国民年金・厚生年金「年金受取額」分布…みんな、いくら年金をもらっているのか?
「自分が亡くなるときは、妻に見送られて…」と考える男性多数
多くの中高年男性は当然のように「妻より自分が先立つもの」という認識を持っている人が多いようだ。 厚生労働省『令和4年人口動態』によると、2022年の死亡者数は156万6,032人。そのうち結婚している男性の死亡数は47万0,585人、結婚している女性の死亡数は16万4,550人。この数字から「夫を亡くした妻」のほうが圧倒的多数であることがわかる。 60歳を前に亡くなる夫は1万7,642人、妻は1万3,902人。当然だが、年齢が上がるほど「妻(夫)に先立たれる夫(妻)」は増えていく。結婚している65歳以上の男性の死亡者数は43万9,891人、女性の死亡者数は14万3,116人となっている。 男女の平均寿命の差、配偶者との年齢差から、何の疑いもなく「最期は妻に見送られて…」と考える男性は多いだろうが、現実は必ずしも思った通りではないかもしれない。「見送る立場」になる夫も、年間14万人近くにのぼるとみられる。 ◆男女別・年齢別「有配偶者の死亡数」 60~64歳:13,052人 / 7,532人 65~69歳:24,661人 / 12,142人 70~74歳:56,975人 / 23,591人 75~79歳:73,045人 / 27,392人 80~84歳:100,986人 / 33,807人 85~89歳:106,830人 / 29,848人 90~94歳:61,634人 / 13,922人 95~99歳:14,636人 / 2,299人 100歳以上:1,124人 / 115人 ※数値の並びは「男性/女性」
住み替えを提案する息子に「家を離れたくない…」
「うちの両親は大変なおしどり夫婦でした。父は〈母と老後を楽しく過ごすのだ〉といって、70歳になっても仕事をつづけ、老後資金の貯蓄に励んでいたのですが…」 そう語るのは、40代の佐藤さん(仮名)。 「健康不安のないはずの母が、心筋梗塞で突然死してしまったのです」 ひとり残された父親を、佐藤さんは心配した。 佐藤さんは大学卒業後に川崎市の実家を離れ、東京や神奈川を転々としていたが、いまは勤務先の都合で茨城県に自分の家族と暮らしている。また、3歳年下の妹は、埼玉県で配偶者と配偶者の両親と暮らしている。 佐藤さんは父親に、ひとり暮らしには広すぎる実家を売って自分たちと同居してはどうかと持ち掛けたが、父親は「母さんと暮らした家を離れたくない」とかたくなだった。 結局、佐藤さんの父親は、これまで通り実家に暮らし続けることになった。 「父の年金は20万円ぐらい。預貯金もありますし、生活費の問題なさそうです。それに、父はあの年代には珍しく、家事もまあまあできるのです。妹と相談して〈本人の希望なら、しばらく見守ろう〉という話になりました」