DVで妻が家出したのに「俺は悪くない」と怒る男。後日“同僚の話”に青ざめた<漫画>
モラハラ加害者の視点を描き大きな反響を呼んだコミック『99%離婚 モラハラ夫は変わるのか』。その続編『99%離婚 離婚した毒父は変われるか』(漫画:龍たまこ、原作:中川瑛/KADOKAWA刊)は、父親のモラハラ・DVが原因で絶縁した「父と娘」の物語です。 【漫画】『99%離婚 モラハラ夫は変わるのか』本編を読む 社内で“仏の鳥羽さん”と慕われながら、大手商社で管理職を務める男性・鳥羽。その過去の顔は、厳しすぎるハラスメント上司でした。家庭でもモラハラとDVを繰り返した結果、離婚しています。 その後、同世代の男性3人でルームシェアをする鳥羽と、「許せない毒父」のトラウマを抱え続ける娘・奈月。娘は父を許すのか? 娘もまた、毒親になってしまうのか? ハラスメントの連鎖は断ち切れるのか――? 仕事と家庭、家族のつながりについて考えさせられる話題作を、出張掲載。 さらに、3人の子どもを育てるマンガ家でシングルマザーの龍さんと、モラハラ・DV加害者のための変容支援コミュニティGADHAを主宰する原作者の中川さんに、本作について語ってもらいます(以下、KADOKAWAの寄稿)。
被害者に「許さない」という選択肢を与えないのは暴力的
――被害者は加害者を「許さなければいけないのか」。こんなに反省しているんだから……とつい周りは思ってしまいますが、奈月に限らず、被害者からすればこんなに苦しい状況はありません。この問題についてお二人のご意見をお聞かせください。 漫画・龍たまこさん(以下、龍):わたしは保育園で働いていますが、保育現場でよく見られるのが「ごめんね」→「いいよ」の強制です。 加害者に「ごめんね」と謝られたら、被害者は「いいよ」と許してあげなければいけない、と教える先生は多いです。謝られたら、許してあげましょう。これを小さい頃から教え込むのです。これは、人間関係を円滑にするためには必要なスキルと言えます。ですが、あまりにも加害者寄りの考え方とも言えます。被害者に「許さない」という選択肢を与えないのは、暴力的なことかもしれないなと思います。 一般的に「許し」は良いこととされ、成熟している証とされるのに、「許さない」というのは、わがままで、子どもっぽいこととして捉えられることが多いのではないでしょうか。それが更に被害者を苦しめている気がします。個人的に、許す許さないはどっちでもよくて、許した方が楽になるならそうすればいいし、そのタイミングではないなら、許す必要はないと思います。 加害者目線で言うと、「人を傷つけても謝ったら許してもらえる」というよりも、「謝ることはできるけど、許してもらえるかはわからない」が正しいような気がしています。 原作・中川瑛さん(以下、中川):とにかく許さなくていい。誰にも許しは強要されてはならない。許さなくても幸せになれます。同時に、加害者もまた、直接の被害者に許されなくても、自他へのケアを通して、幸せになってよいと考えています。