DVで妻が家出したのに「俺は悪くない」と怒る男。後日“同僚の話”に青ざめた<漫画>
「自分たちの世代から急にダメなんて……」と驚く加害者たち
中川:だからこそ、実際に困るような環境を作ることはとても大切です。学びましょう、といっても人は学びません、学べません。そんなに簡単に人は自分を変えようとは思えません。だから、困ってもらうことが重要だと思います。 ハラスメント防止法などによって実際に処罰されるようになったら人は変わろうとします。最近も映画監督の性加害や、お笑い業界の性加害、アイドル業界の性加害などが続々と取り沙汰されるようになりました。これまでのたくさんの被害者の方を思うと言葉も出ないほどの悲しみ、傷つきの蓄積があると思いますが、それでもなんとか向き合っていく。 この時に、加害者たちは突然自分たちがやっていることが悪だと断罪されることに驚いていると思います。上の世代は普通にやっていたのに、自分たちの世代から急にダメなんて……と。部活で顧問や先輩にしごかれていた世代が、後輩をいびろうと思ったらそれはダメと言われるような感覚というか、そういった不平等感を感じ、自分たちは貧乏くじを引いたと思っているかもしれません。
「あなたは間違っています、はいさようなら」で終わらせない
中川:こうした状況をまずは作った上で、その人のことを見捨てずに、関わっていくことが大切だとも思います。あなたは間違っています、はいさようなら、とされてしまっては、人は学ぶ気にはならないでしょう。憎しみをいだき、恨み、そちらの方こそ間違っていると頑なになり、あるいは自分はもう時代に合わないからと学び反省することもなく、また身近な人間関係においては加害を続けながら、生きていってしまうでしょう。 そうではなく、そこから学び変わることができるということを示し、共にやっていこうよと、生きていこうよと、間違えることもあるけれど、そこから始めることができることもあるよと、そういって手を取ってくれる人が、この世界には必要なんだと思います。 そのような意味で、この本の中で北見に対して鳥羽が伝える言葉や、彩(鳥羽の部下・翔の妻)が鳥羽に伝えてくれる「生きてください」というセリフが本当に大切です。人は間違える、失敗する。加害をする。憎まれる。許されないこともある。それでも生きて、生きて学び変わっていくことで、自分のことも他人のことも慈しみ、大切にすることができる。遅すぎるということは決してない。だから、生きていこうよ。こう言える関係や、それを支える文化や制度、学びの共同体がこの社会には必要だと思います。 【龍たまこ】 3人の子どもを育てるマンガ家。1981年生まれのシングルマザーで、保育士の資格を持つ。ライブドア公式ブログ「新・規格外でもいいじゃない!!-シングルマザーたまことゆかいな子ども達-」をほぼ毎日更新中。著書に『規格外な夫婦~強迫症夫と元うつ病妻の非日常な日常~』(宝島社)、『母親だから当たり前? フツウの母親ってなんですか』(KADOKAWA)。X(旧Twitter):@ryutamako、Instagram:@ryu.tamako2 【中川瑛】 モラハラ・DV加害者変容に取リ組む当事者団体「GADHA」代表。妻との関係の危機から自身の加害性に気づき、ケアを学び変わることで、幸せな関係を築き直した経験から団体を立ち上げる。現在は加害者個人だけではなく、加害的な社会の変容にも取り組んでいる。著書に『孤独になることば、人と生きることば』(扶桑社)、『ハラスメントがおきない職場のつくり方 ケアリング・ワークプレイス入門』(大和書房)。X(旧Twitter):@EiNaka_GADHA <構成/女子SPA!編集部> 【女子SPA!編集部】 大人女性のホンネに向き合う!をモットーに日々奮闘しています。メンバーはコチラ。X:@joshispa、Instagram:@joshispa
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