生成AIマイコンにも 蘭NXP、開発環境に新機能 実装簡単に
オランダのNXPセミコンダクターズは、人工知能(AI)を搭載する機械学習ソフトウエア開発環境「eIQ」に二つの新機能を追加する。同社のMCU(マイクロ・コントローラー・ユニット)やMPU(マイクロ・プロセッサー・ユニット)に、AIを簡単に実装できるようにすることを狙う。 【関連写真】新機能「GenAIフロー」の活用例 新機能の一つはデバイスに生成AIを組み込む「GenAIフロー」。音声や画像、動画などマルチモーダルへの対応を想定し、MPUに展開する。 もう一つは時系列AIモデルを生成する「Time Series Studio」(TSS)。比較的単純なセンサーデータを扱うためMCUに搭載する。 GenAIフローは、大規模言語モデル(LLM)をエッジAIとして利用できるようにするツール。エッジデバイスにLLMを搭載する際、用途に合わせて個別情報が必要なため、一般的な情報を学習させただけでは事実誤認が生じる。 そこで、検索拡張生成(RAG)機能により、ドメイン固有情報のデータベースを作成できるようにした。例えば、IoT家電にMPUを搭載する場合、家電の説明書や企業規約をデータベース化しておけるため、エッジAIが適切な回答を作成できる。現在は音声入力だけだが、将来的には画像や動画への対応も計画する。 TSSは、連続的な時系列データを読み取るAIモデルを展開するための機能。データセットの入力からデバイスへの展開までエンド・ツー・エンドでサポートする。時系列基盤モデルには異常検知、分類、回帰といった用途がある。 同社日本法人のマーケティング統括本部IIoTエッジプロダクトマーケティング担当の浜野正博氏は、「AIのユースケースに合わせ幅広い機能のラインアップをそろえた」と自信を見せる。 新機能は2025年にリリース予定。AI処理の高速化を目指して拡充しているNPU(ニューラル・プロセシング・ユニット)のコア「eIQ Neutron」に対応する。CPU(中央演算処理装置)向けTSSはすでに公開しているが、NPU向けは来年になる。GenAIフローはNPUのみに対応。
電波新聞社 報道本部