門脇 麦「役を作るという感覚があまりない。多分、全部自分なんだと思います」
「役作りはほとんどしません」(門脇)
樋口 ひと足早く、6月14日公開の『オールド・フォックス 11歳の選択』も拝見しました。経済成長に取り残される人たちを描いた、そこはかとないハードボイルド映画だなと。門脇さんは台湾人役を演じられていますが、色々とびっくりしました。中国語のセリフはどうされたんですか? 門脇 私もびっくりしました(笑)。1カ月半から2カ月ぐらい練習して撮影に臨みました。 樋口 門脇さんを知らない人が見たら、完全にいち台湾人、いち中国人に見えますよ。 門脇 ありがとうございます。メイクや衣装もですが、例えば海外のカメラマンさんの切り取り方や視点で馴染むというか、その世界に入れてもらえることはあるんだろうなと思います。 樋口 なるほど。あれはどういう経緯で門脇さんに依頼が来たのでしょうか。 門脇 シャオ・ヤーチュエン監督が「日本の役者と仕事してみたい」という話をされた時に、台湾や日本で仕事しているキャスティングの方が私の名前を挙げてくださったそうです。
樋口 そうですか。それにしても非常に日本人的で、台湾人と日本人は本当に似ているなと思いました。穏やかな映画かと思ったら、後半は次々と暴力が襲ってきて、まるでゴッドファーザーだなと。見事な着地点でしたね。撮影は何日くらいで? 門脇 全然時間がなくて、4泊くらいでした。 樋口 門脇さんは、作品ごとの役作りはどんな感じでされるんですか? 門脇 今回のように台湾語を勉強するとかはありますけど、役作りはほとんどしないですね。 樋口 ほお。今まで演じた役で、これは素のままの自分だなとか、全然違うなとか感じた人物はいましたか? 門脇 多分、全部自分なんだと思います。まったく共感できない役でも、自分の中にある部分を使っている感じです。だから、役を作るっていう感覚が自分の中にはあまりないんだと思います。 樋口 ちなみ共感できなかったのはどの作品ですか?(笑) 門脇 ここ最近では『ほつれる』の綿子ですね。 樋口 ああ~! 不倫する役でしたからね。