日本で最初のハンバーガー・チェーンと奈良時代の歴史遺産がある深井駅【泉北高速鉄道線】
■第三セクターが建築し、南海が運行
1971年に開業した泉北高速鉄道線(泉北高速線)だが、工事が計画されたのは泉北ニュータウンの開発計画と同じ1965年のこと。当初は既存路線の延伸が検討され、いくつかの候補から南海高野線への建設委託が選ばれた。 ■【画像】圧倒されるほどダイナミック! 復元された土塔 しかし南海はこの要請を拒否。当時は高架化事業などで南海に資金的な余裕がなく、路線建設まですると採算性が取れないためだ。 そのため大阪府は第三セクターの大阪府都市開発(OTK)が路線を建設し、南海が運行を受け持つ形で1969年に合意した。泉北ニュータウンへの入居が始まった翌年のことである。 1987年に鉄道法令の改正でOTKが運行も担うようになる。しかし2009年、大阪府のOTK民営化方針により、鉄道路線は南海への売却が決定。2014年には社名を「株式会社泉北高速鉄道」に変更し、南海の子会社となっている。
■深井駅で営業するドムドムハンバーガー
このような経緯で誕生した泉北高速線は、当初、光明池までの4駅の設置を想定していた。現在の終点である和泉中央駅は、開業の4年後に和泉市が延伸を提案したことによる。 いまは6駅なので、1つは設置計画に含まれていなかったことになる。工事着工前に追加されたのが深井駅だ。 中百舌鳥駅と泉ヶ丘駅の間にある深井駅は、泉北ニュータウンエリアに位置しない。したがって、ニュータウンと都心を結ぶという本来の目的からすれば必要はなかった。しかし、路線沿いにある府営八田荘住宅へのアクセスを確保すべき、との要望があって実現したのだ。 泉北高速線は深井から高架駅となり、駅舎の1階と2階はショッピングセンターとなっている。その1階に懐かしいハンバーガーショップを発見。ドムドムである。 最盛期には全国に約400店舗展開していたドムドムハンバーガーだが、現在はわずか29店舗。しかし、そのうちの千船駅店(大阪市西淀川区)は2024年6月、東大島店(東京都江東区)は9月にオープン。まだまだ、日本初のハンバーガー・チェーンの火は消えそうにない。 駅の東側には、1981年に設置されたモニュメント「躍水(やくすい)」がある。 設計は堺市出身の彫刻家 松本鐵太郎(てつたろう)氏だが、製作は音楽デュオ、コブクロの黒田俊介の父親が担当したという。