「理系が超苦手」でも天文台に就職 進路選びで大切なこと
数学と理科が苦手でも、憧れていた天文台での仕事に就いた女性がいます。谷沙希さんは、京都産業大学理学部物理科学科を卒業後、兵庫県姫路市の天文台へ就職しました。子どもの頃から星が大好きで、理系の科目が苦手でも夢を諦めませんでした。2013年からは、高知県四万十市の「ホテル星羅四万十(せいらしまんと)」で天体観測ドームの運営に携わっています。どうやって進路を決めたのでしょうか。
谷さんが星に興味を持ち始めたのは、小学4年のとき。望遠鏡で見た月に感動したのがきっかけでした。高校への入学を控えた春休みに、東京大学木曽観測所で毎年開催されている高校生向けの天文学実習「銀河学校」に、高校1年の夏には国立天文台三鷹キャンパスのイベント「君が天文学者になる4日間」にも参加。グループで天体に関する1つのテーマについて調べ考察していくのが面白くて天文学者を志すようになりました。 大学で天文学を学びたくて、高校1年の文系・理系選択のアンケートには「理系志望」と書きました。すると翌日、担任の先生から母親に電話がかかってきました。「沙希さんは理系志望と書いていますが、間違いありませんか? 大丈夫ですか?」と問い合わせがあったのです。 「私が得意なのは英語と古典。数学と化学は高1の2学期末のテストで赤点を取ってしまうほど理系科目は苦手でした。担任の先生が間違いではないかと思ったのも当然です。小学校の頃から得意なのは文系科目でしたから。両親には天文学者になる夢を話していたので、『その道に進むからには理系進学からは逃げられないよ』と言われてきましたが、ついに選択のときが来たなと思いました」 心配する先生に母親は、「本人がやりたいなら仕方ないですね」と答え、谷さんに対しても「自分で選んだのだから大丈夫。しっかりやりなさい」と励ましてくれました。そのときに改めて強く心に誓いました。「天文学者になるしかない!」 と。