Jクラブや街クラブは9月までにジュニア選手の獲得を決める? 専門家がアドバイスするジュニアユースのチーム選び
近年、日本サッカー界の育成年代はパスウェイが多様化し、さまざまな角度から新たなチャレンジができるスキームが整った。ジュニア(小学生年代)、ジュニアユース(中学生年代)、ユース(高校生年代)、大学というピラミッドがあるなかで、Jリーグの育成組織はもちろん、街クラブや各種年代の部活動などが充実し、1993年のJリーグ開幕時を考えれば隔世の感すらある。 その一方で選手たちがチームを“選ぶ”作業は難しくなっているのも事実だろう。選択肢が多くなっているからだ。プロサッカー選手を目指すような年代のトッププロスペクトは自然と上のレベルに引き上げられていくが、そうではない選手たちは自らの足でチームを探さなければならない。特にジュニア年代はまだまだ子どもたちが精神的にも未熟で親御さんたちの手助けは必須。当然、ジュニアユース年代でプレーするチームを探すことは一人でできない。特にジュニアユース年代の選択肢はユース年代以上にあるため、豊富な選択肢から自分に合ったチームを選ぶ作業は容易ではないだろう。 では、どうやってジュニア年代やジュニアユース年代のチームを選ぶべきなのか。流経大柏高のOBで同校のGKコーチを歴任し、ジェフユナイテッド千葉でスカウトを務めた経験もあるクラブ・ドラゴンズ柏U-12の稲垣雄也代表に話を聞いた。 (インタビュー・構成=松尾祐希、写真提供=稲垣雄也)
さまざまなカテゴリーの選手を自らの“眼”で見極めてきた経験値
流経大柏高を拠点に、ジュニアとジュニアユースのチームを持つクラブ・ドラゴンズ柏のU-12監督も務める稲垣雄也代表は流経大柏高を経て、ウルグアイやアルゼンチンに渡った経歴の持ち主。現役を退き、指導者に転身してからはさまざまな経験を積んできた。また、選手のリクルートにも多く携わり、流経大柏高のコーチ時代は中学生のスカウトを担当。ジェフユナイテッド千葉ではプロサッカー選手を目指す選手たちの発掘に尽力してきた。中学、高校、大学とさまざまなカテゴリーの選手を自らの“眼”で見極めてきた経験値は何事にも変え難い。そして、今は過去の経験を生かしながら小学生の選手に携わっている。 では、ジュニア年代の現状をどのように見ているのか。稲垣代表は「ほかのジュニアチームの内情はわからない」とした上でこう話す。 「世間一般的にはコロナの影響もあって一般的な運動能力が落ちているかもしれません。ただ、ドラゴンズの選手たちはトレーニングで手を抜かない。選手に対してもっとできるだろうという思いはあっても、一生懸命やらないというようなストレスを抱えたことはありません。コロナの影響を受けて外で遊べない時期があった事実に対して、ハンデとは思わないし、自分の叶えたい夢や目標という部分で打ち消し合えている。だから、今の子どもたちが何か足りていないというふうには感じない。それは今も昔も変わっていないと思います」