Jクラブや街クラブは9月までにジュニア選手の獲得を決める? 専門家がアドバイスするジュニアユースのチーム選び
Jクラブや街クラブは9月までに選手の獲得を決める
自立を促すために何ができるのか。クラブと親の協力があって初めて成り立つ。そうしたスタンスはジュニア年代からジュニアユース年代に進んでいく際にも、自らの意思で決めることを求めている。 「基本的には他のクラブのセレクションが7月頃から始まるので、小学校の6年生の4月頭には昇格を希望するかどうかの返事をもらっていて、6月中にはすべてを決める流れにしています。そうすれば、違う選択をすることになった場合に他のクラブの練習会などに参加できるからです。その前提があった上で、選手たちには進路を自由に選んでいいというスタンスを伝えていますし、クラブの方針となっています。 ただ、大事なことは自分の意思で決めることです。ジュニアユース年代でもクラブ・ドラゴンズでプレーしたいという意思を示してくれた後に他クラブからオファーが届くかもしれない。その時に決断が揺らぐようであれば、中途半端な進路決定をしないように伝えます。 本人が外に出たいと言うのであれば、自由にセレクションを受けても構いません。実際に外にチャレンジをしたいということでセレクションを受けた選手もいました。とはいえ、そこでもしうまくいかなかったとしてもすべてを閉ざしていない。内部生はそれまで一緒にやってきた信頼関係があるので。」 基本的にJクラブや街クラブは7月から9月までに選手の獲得を決めるケースがほとんど。レベルが上がれば、さらに早まったとしても不思議ではない。そうした状況下を踏まえ、選手たちに自分で決断を下すことを求めている。
ジュニアユースに上がれない選手への対応
その一方でクラブ・ドラゴンズから離れる選手や能力によってジュニアユースに上がれない選手もいるのも事実。となれば、彼らの進路サポートも必要不可欠になる。クラブ・ドラゴンズではどのようにしているのだろうか。 「私たちが主体で一方的に探すことはしません。ただ、わからなければ、相談には乗りますというスタンスでいます。基本的にジュニアユースに上がれるかどうかは発表当日までわからないようにしていて、その前からダメだった場合の選択肢を考えておくように伝えているんです。そういうスタンスを踏まえて選手が上がれなかった時に、行きたいチームとのコネクションがない場合は練習参加を取り付けることはします。 そこは自分が培ってきた関係性が生きているかもしれません。やっぱり、自分は預かった選手に対して、最後まで愛情を注ぎたい。もちろん、今まで培った関係性も生きていますが、新しいチームが増えているので指導者を知らないケースもあります。それでも自分には責任があるので、つなげるように動きます。知っているか知っていないかは関係ない。最後まで子どもたちに情熱を注ぎたいですよね。どこで曳航するかはわからないし、選手の未来はこの時点では未知であり無限大ですからね。」 子どもたちに最後まで寄り添う姿勢――。稲垣代表の思いはしっかり結果にも表れており、ほとんどの選手が早い段階で進路が決まった。ただ、クラブによってスタンスは異なる。放任しているチームもあるし、おざなりになっているチームも少なくない。だからこそ、稲垣代表は子どもたちのために汗を流す。 「指導者によってまったくスタンスは違う。正解、不正解はないけど、間違った対応をしている人も珍しくない。ちゃんと誠実にやらないといけないんです。今だけの問題ではないですし、いい選手が揃っている代だけ一生懸命やっても意味はない。どんな時も頑張ってやらないといけないんです」