ホルモン焼きの人気チェーンがなぜ立ち食いそば屋を? 戸越銀座の「立喰いそば でん」で食べた“丸チョウそば”に衝撃を受けた
とにかくオジサンの集まる店をやりたい
しかしそんな達人がなぜ「立喰いそば でん」を始めたのだろうか。質問したところ、内田社長はすごい勢いでその想いを話し出した。要約すると以下の通りだ。 内田社長は19歳で佐渡島から上京し、いろいろな飲食業界を経験し研鑽を積んできた。たくさんの人間との繋がりも得て飲食店としての独立を志していった。そして「もつ焼きでん」をスタートしたのが2012年。ようやくその活動が華開いた。一方で若い頃から立ち食いそば屋が大好きで、いつもおいしい店に行ってはその味を堪能していたという。つまり完全な「立ち食いそばオタク」だ。「とにかくオジサンの集まる店が好きで、もつ焼き屋を始めたのもそんなところから。立ち食いそば屋もやりたくてたまらなかった」と内田社長はまくしたてる。
もつ焼き屋と立ち食いそば屋を両方やりたい
内田社長は「もつ焼きでん」を経営しながら、大好きな立ち食いそば屋を作るアイデアをずっとあたためていた。そして2020年頃に立ち上げを計画していたのだが、コロナ禍で一旦保留。そして、2024年に遂にその時が来たというわけである。それまで実食で蓄積してきた立ち食いそばのノウハウと「もつ焼きでん」の実績を合体するチャンスが来たわけである。 内田社長によれば、そばの出汁に使っているあごは「佐渡島でとれたものを、実家ではらわたなどをとって送ってもらっている」そうだ。「ながも」も佐渡島の特産だ。メニューにある理由がやっと分かった。もちろん丸チョウは芝浦の食肉市場から仕入れた新鮮なデイゼロのもの(解体したその日のもの)を吟味して仕込んでいる。この辺りは「もつ焼きでん」のノウハウを利用したすばらしい連携だ。
内田社長は「自分はあと5店立ち食いそば屋を出して、ハワイのワイキキにも店を出したい。そうしたらロックバンドの活動にも弾みがつく」とたたみかけるように30分間以上も話をしてくれた。
4日連続で実食した結果...
それでは最後に伝説の漢の余韻が残るオープン日から4日連続で食べた天ぷらのメニューを紹介しよう。 「カリカリポテトそば」はポテトがふわっとした触感で、つゆにつけるとまた食感が変わって面白い。これも他ではみないオリジナルメニューだ。 「かき揚げそば」は一番人気だとか。油切れのよいかき揚げはサクッと揚がっていて秀逸である。「春菊天そば」はカリっとしたナイスな春菊天がのる。 「ゲソ天そば」はげそがゴロゴロ入った天ぷらがのる人気メニュー。「ながも天そば」はまさに佐渡島の味だ。つゆになじむと、とろみが出てくる。食物繊維が多そうだ。その天ぷらの実によい出来具合である。ご馳走様でした。 内田社長はすごい熱気の漢だった。しかも立ち食いそばオタクの匂いもある。親近感が増すばかりである。さとりん店長も他スタッフも奮闘中だ。戸越銀座商店街は土日になれば飲み歩き企画が常時行われている。週末にまたぷらっと立ち寄ってみたいすてきな店だ。次は「ハムキャベ天そば」でも食べることにしよう。 INFORMATION 立喰いそば でん 住所:東京都品川区平塚1-5-9 営業時間:月~金7:00~21:00 土日祝 8:30~16:00
坂崎 仁紀