“防衛国債”は「未来の世代に対する責任として取り得ない」岸田首相会見12月10日(全文2完)
北陸新幹線整備事業、来年度当初の着工は可能か
記者:京都新聞の岡田です。北陸新幹線の敦賀・新大阪間整備事業についてお尋ねします。この区間については与党のプロジェクトチームが来年度当初の着工を求めておりますが、環境影響評価の遅れであったり、残土処理などさまざまな課題も指摘されております。与党幹部からは来年度当初の着工は厳しいとの認識が示され、着工後に予定していた作業の一部を前倒しすべきとの声も上がっております。総理は現状で、来年度当初の着工は可能とお考えでしょうか。もし難しいとお考えならその理由はなんでしょうか。作業の前倒しは可能かどうかと、考えられる作業内容についても併せてお聞かせください。 岸田:北陸新幹線、敦賀・新大阪間については、現在、鉄道・運輸機構において現地調査等による環境影響評価、これを実施中です。この環境影響評価の進捗については一部地域で、環境影響に関する懸念の声があり、当初計画より遅れていると承知をしています。ご指摘の着工の時期や着工後に予定していた作業の一部前倒しについては、現在、国土交通省において検討中です。この中で京都駅や新大阪駅の整備、発生土の処理などの施工上の課題についてめどを立てることが重要であると考えており、来年度の事業内容については調整を行っているところであるという報告を受けております。 司会:それでは、その次にニッポン放送の畑中さん。
“防衛国債”発行の可能性はあるのか
記者:ニッポン放送、畑中と申します。防衛費の財源について伺います。先ほど総理は増税が目的ではないというふうにはおっしゃっていましたが、国債発行についての選択肢があるのかどうか。これは財政法ですとか安定財源の問題もありましょうし、また、戦前への先祖返りを危惧する声もあるかと思います。一方で自民党の議員からは一部で、この発行を主張する声もいまだにあるようでありまして、防衛国債発行の、今後5年間ということで、その中での可能性も含めて総理のお考えをお聞かせいただけますか。 岸田:まず、この5年間で抜本的に防衛力を強化するに当たっては、財源がないからできないという立場は取らない。これは従来から申し上げてきたところです。従って、新たな防衛力整備計画の5年間は、必要な防衛費43兆円を優先し、その財源は歳出改革等の取り組みに加え、特別会計からの一時的な受け入れ、さらにはコロナ対策予算の不要分の活用。また、国有財産である大手町プレイスの売却など、あらゆる工夫を先行して始めることといたしました。 しかし、5年間で抜本的に強化される防衛力は、5年後も未来に向かって維持、強化していかなければなりません。それが国家、国民の平和と安全を預かる総理大臣の使命であると考えています。そのためには安定した財源が不可欠です。この点まで国債でというのは、未来の世代に対する責任として取り得ないと思っております。この歳出改革や税外収入の確保など、財源確保のあらゆる努力をした上で、最終的に国民の皆さんに一定のご負担をお願いせざるを得ないということから、与党税制調査会において検討を指示した、こういった次第であります。 司会:それでは大変恐縮ですが、あと2問とさせていただきます。それでは時事通信の石垣さん。