「(SMAPは)なんちゃってオールマイティーですよ」木村拓哉が語った言葉に表れる、「ジャニーズ事務所」が他の事務所と違うワケ
今年の「NHK紅白歌合戦」にも、旧ジャニーズ事務所のタレントは出演しないという。しかしそれは、タレント側にとってはマイナスな側面だけではない。“自前”でファンとの接点を作ることに成功しており、年末年始にはYouTubeなどで多くのコンテンツが生配信される予定だ。 テレビのビッグコンテンツへの出演がなくなっても、依然、大きな影響力を持つ旧ジャニーズ事務所のタレントたち。そもそもジャニーズ事務所とはどのような事務所なのか、この30年ほどでどのような変化が起きたのかを考察したい。 【画像】木村拓哉の“自虐”に戸惑いを隠せなかった「かつてのライバル」
霜田明寛氏の新刊『夢物語は終わらない ~影と光の”ジャニーズ”論~』より一部抜粋・編集のうえ、お届けする。 ■ジャニーズ事務所は“巨大な異端児” 1962年にジャニー喜多川の個人事業として創業され、1975年に株式会社として法人化されたジャニーズ事務所。まず、簡単にその芸能事務所としての性質を語るなら、“巨大にして異端”ということになる。 芸能事務所としての存在感が巨大であったことは誰も否定しないだろう。2022年の興行規模TOP10には6グループがランクインし、合計のテレビ出演は6240番組に及んだ※1。だが、“芸能界のド真ん中”と言えるような場所にいたかというと、実はそうではない。
多くの芸能事務所は、一般社団法人日本音楽事業者協会、略して音事協という団体に所属している。タレント引き抜きによるトラブルを防止したりする業界団体で、ナベプロ、ホリプロといった芸能事務所の社長が歴代の会長を務めており、多くの人が“芸能界”といって思い浮かべるようなイメージはここに起因するものだろう。 だが、ジャニーズ事務所は、その業界最大の団体に所属していない“異端児”なのである。戦後すぐに誕生して今も存在感を示す大手芸能事務所の多くが、進駐軍相手の演奏などの活動を源流にするのに対し、もともとは少年野球のチームだったというその出自も異色だ。