「(SMAPは)なんちゃってオールマイティーですよ」木村拓哉が語った言葉に表れる、「ジャニーズ事務所」が他の事務所と違うワケ
だが、2023年のジャニーズ事務所の終盤の時点で、グループ活動をしている人数だけで80名以上にものぼり、さらにグループ活動を休止後も所属していたタレントや、グループには属していないが個人で所属していたタレントを加えると100名超の所属者がいた。 ちなみに、ジュニアの数自体も増えていて、2023年3月時点で200名以上おり※2、「10人ぐらいしかいなかった※3」と堂本光一が語っている90年代前半から比較すると、大きな変化だ。
99年には10代・20代を中心に30代が少し、といった構成だったが、現在は10代のジュニアから50代まで幅広い。つまり、“若い時にだけいる事務所”ではなくなってきていたのである。 当然、アイドルとしての在り方にも変化が起きる。井ノ原快彦はその変化にこんな言葉をあてている。 「昔は20代前半で解散しているグループが多くて、30歳の壁みたいなのがひとつあったと思うんですよね。(中略)今は長く応援してもらえるようになったので、アイドルの在り方も、この20年でずい分変わったなと感じます。“ラブメイト”だったのが“ソウルメイト”になっていく感じなのかな。(中略)共に同じ生活人として認め合いながら生きていく※4」
■「アイドル寿命」が延びたゆえの弊害 自分たちでアイドルの寿命を延ばした一方で、それによる思わぬ弊害も起きる。KinKi Kidsの堂本光一はこう語っている。 「我々は、こういう仕事って5年、長くて7年もやれば十分だと言われていた時代の人間。だから、辞める人がいることは何ら不思議ではないんですよね。それがいつの間にか長く続ける人のほうが多くなって、『辞める』が衝撃のように扱われるようになっちゃった。もちろん、ファンの皆さんが悲しむ気持ちはよく分かるけど、自然な流れなんです、そもそもが※5」
所属する人数も増えた上に、10代から50代まで所属する年齢層の幅の広い事務所になったことで、時にはジャニーズ事務所と違うステージで輝こうという人生設計を描く者がいたとしても不思議ではない。 以前から退所者が出ると「崩壊の序章」といった記事が散見されたが、そもそも男性アイドルの寿命を延ばしたのが彼らであるにもかかわらず、長年の活動の後に辞める者が現れると事務所の落ち度のように報じるのは捻(ねじ)れた話である。