なぜヤクルトは“史上最高の日本シリーズ”を20年ぶりに制することができたのか…入念な準備とコミュ力高い高津監督“神采配”
「高津監督は、おそらく中村やコーチとコミュニケーションを取りながら、調子を見極め、勝利方程式にこだわらず、“今いい投手”をとことん使った。中嶋監督は、悔いの残らない最善策を取った。だが、調子の見極めという部分で誤算があった」 1点差ゲームが5試合の大接戦のシリーズゆえに、一つのミス、些細な判断の誤りが勝敗を分けた。 戦前の予想では、山本、宮城の2枚看板を擁するオリックスが有利とされていた。2012年に巨人が日ハムに勝って以来、セのチームは日本一になっておらず、この2年は連続で巨人がソフトバンクに4連敗。セパの格差についても注目されていた。 高代氏は「セパの格差は、埋まったと言えるシリーズだったと思う」と総括した。 「パを代表する2人のパワーピッチャーに勝たせなかった。格差を埋めたのが、中村のインサイドワークであり、それに応えたヤクルト投手陣の制球力。そして高津監督の采配があり、繰り返すが、その背景には綿密な下準備があった。そういう細かい野球がセの持ち味。パのパワー野球に、そこで十分に対抗できることを示したシリーズではなかったか」 感動と興奮をファンに与えた2021年の日本シリーズは永遠に語り継がれるものになった。 高津監督の声が、まもなく日付を超えようとする神戸の夜空に響く。 「また終わったばかりだが、熱い戦いをこれからプロ野球として見せていけるように我々もしっかり努力していく」 そして、アナウンサーに、あのフレーズを促されると、ふふっと笑ってから、2021年のヤクルトのスローガンで締めた。 「我々は絶対崩れません。絶対大丈夫です。1年間応援ありがとうございました」 (文責・論スポ、スポーツタイムズ通信社)