ヤクルト3勝1敗の裏に“新セパ格差”
日本シリーズの第4戦が24日、東京ドームで行われ、ヤクルトが2-1でオリックスを下して3連勝、20年ぶりの日本一に王手をかけた。2回にドミンゴ・サンタナ(29)の2試合連続の本塁打で1点を先制したヤクルトはベテランの石川雅規(41)が6回3安打1失点(自責ゼロ)の好投を見せ、6回二死走者無しからつないで奪った決勝点を石山泰稚(33)、清水昇(25)、スコット・マクガフ(32)の必勝リレーで守り切った。ヤクルトの3勝1敗の裏には新しいセパ格差が見え隠れしている。
「いつ潰れてもいいという気持ちで投げた」
東京ドームのお立ち台に立ったのは41歳のベテラン左腕だった。 「むちゃくちゃうれしい」 柔和な笑顔を浮かべた石川はこう続けた。 「本当に先頭バッターから全力でいつ潰れてもいいという気持ちで、そして良い形で後ろの信頼のおけるブルペン陣につなげようと思った」 6回3安打5奪三振の77球。老練な投球術でオリックス打線を翻弄した。 6回二死一塁から宗のライト前ヒットをサンタナがジャッグル。それも前に出てきてもいない緩慢な守備位置で犯したミスにつけこまれ、一塁走者の福田が一気に本塁を陥れて同点とされたが、このボーンヘッドがなければ無失点ピッチングだった。 2015年のソフトバンクとの日本シリーズでは、エースとして開幕戦と第5戦の2試合を任されたが、それぞれ3失点、4失点して5回持たずに負け投手となった。 「前回は悔しいシリーズを経験して今日も第4戦という大事な試合を任されて何とか監督の思いに応えようと“絶対大丈夫”と思ってマウンドに上がりました」 6年越しの悔しさを王手をかける一戦で晴らした石川の白星は、1950年に毎日の若林忠志氏が42歳8カ月でマークして以来2番目の日本シリーズ最年長勝利記録。それでも「高津監督も言ってくれたけれど年齢は関係ない。ルーキーの気持ちで投げている」と胸を張った。 石川の何がどう凄かったのか。 ヤクルトOBで、故・野村克也氏が、楽天監督時代にヘッドコーチを務め、ノムラID野球を知る現新潟アルビレックスBC監督の橋上秀樹氏は、「石川のようなタイプの投手をオリックスは見たことがなかったのだろう。映像と実際のイメージのギャップに戸惑い、タイミングを外され、読みの裏をかかれた。石川は、いい時と悪い時がハッキリしていて、悪い時は高校生みたいなボールしか投げられないが、今日はいい時の石川だった。緩急とコントロールにひとつのミスもなかった」と分析した。