5000円超え、1万円超えも――小学生もハマる、「高級シャーペン」というロマン #なぜ話題
限定色の発売日に、「聖地」銀座 伊東屋 本店へ
11月24日、文房具専門店・銀座 伊東屋 本店には、開店前から行列ができていた。 三菱鉛筆の高級シャーペン、「クルトガ ダイブ」の限定色<オーロラパープル>の発売日。生産数が限られているため、抽選制をとる店も多いなか、伊東屋では先着順で販売した。並んだ人は整理券を持って5階の筆記具コーナーへ。開店して30分ほどで、入荷分は完売した。 ちなみにクルトガとは、「芯がクルッと回ってトガり続ける」性能からのネーミング。スタンダードモデル495円に対し、ハイスペックモデルのクルトガダイブは5500円だ。筆圧や芯の硬度に合わせ、自動で芯の繰り出し量が調整される。 この日は平日だったこともあり、子どもは少なかったが、ふだんは土日を中心に多数来店しているという。事務用品売場マネージャーの小山大輔さんはこう話す。 「友達同士で筆記具を目的に来店される中高生、大学生は本当に多いですね。休みの日には、ご家族の方と見に来る小中学生で賑わいます。社会見学とか、夏の自由研究としてアポイントを取って店舗や商品の話を聞きに来る小学生も。地方の修学旅行生たちも、たくさん来てくださいます。お目当てのシャーペンを手に、嬉しそうに帰っていく姿が微笑ましいです」
前出のコウタ君曰く、「伊東屋はペンマニアの聖地」。国内外さまざまなメーカー、数百円から数十万円のシャーペンをラインナップし、オリジナル商品も販売する。部材の高騰など製品価格は上昇傾向だが、売れ行き好調だ。この日も3階の高級筆記具コーナーでは、ショーケースの上で嬉々として試筆する男子学生の姿が目立った。 「コロナが空けたころから、学生さんの来店が増えたと思います。ヒアリングしたところ、コロナ禍で“文房具系YouTuber”の動画を見てはまった、という声が多数ありました」 かつては高級筆記具といえば、入学祝など「大人からプレゼントされるもの」だった。低年齢化して、さらに自分で購入するのは、YouTubeの影響が大きいようだ。 「ネットショッピングが当たり前の今、リアルショップでの買い物が子どもたちのエンタメになっているのを感じます。少子化やライフスタイルの変化で文房具店も将来が危ぶまれるなか、たくさん来店してもらえるのはありがたい。学生さんは未来の大切なお客様ですから」