インフルエンザ、コロナ、プール熱…。冬の〈マルチデミック〉と戦う〈免疫〉の強さは〈内臓脂肪〉で決まる
「iMUSE」など、プラズマ乳酸菌と免疫機能の研究でさまざまな新製品を発売しているキリンホールディングス株式会社と、「ヘルシア」など、内臓脂肪にアプローチする商品を開発し続けている花王株式会社の共同研究により、内臓脂肪と免疫との関係性が確認されました。今年は新型コロナウイルス以外にもインフルエンザやプール熱などが流行しており、複数の感染症が流行する「マルチデミック」の発生も懸念されています。例年以上に感染症対策が意識されるべき今冬、内臓脂肪が免疫に与える影響について見ておきましょう。 【写真】pDCの指示で活性化する免疫細胞 * * * * * * * ◆免疫活性と内臓脂肪の関係 今回の共同研究は、和歌山県立医科大学が主宰し、NPO法人ヘルスプロモーション研究センターがとりまとめているコホート研究「わかやまヘルスプロモーションスタディ」に、両社が参画して2022年11月から実施されました。今回の研究成果は、宮城県で開催される第44回日本肥満学会・第41回日本肥満症治療学会学術集会でも発表されました。 感染症対策に有効な「pDC」pDC(プラズマサイトイド樹状細胞)とは、免疫細胞の司令塔となる細胞のことです。pDCの指示により「NK細胞(異常細胞を殺傷する細胞)」や「キラーT細胞(外敵に侵された細胞を殺傷する細胞)」などの免疫細胞が活性化し、ウイルスに対する防御が働きます。 つまり、pDCはウイルスと戦うために特に重要な役割を果たす細胞といえます。感染症対策では、このpDCが活性化した状態をいかにして維持するかがカギとなります。 内臓脂肪が多いとpDC活性が低下する体脂肪のうち、皮下にあり、直接つまめるものを「皮下脂肪」、胃や腸などの内臓まわりにあるものを「内臓脂肪」といいます。このうち、免疫に影響するのが内臓脂肪です。 今回の研究では、内臓脂肪が多い人はそうでない人よりもpDC活性が低下しており、新型コロナウイルス感染症・インフルエンザに罹った割合が高いことが確認されました。 したがって、内臓脂肪量が少ない状態を保ち、pDC 活性を高く維持することが、新型コロナウイルス感染症・インフルエンザへの罹患リスクの低減につながると考えられています。