自然災害7倍時代に備える! 小さな畑から地球を変えるリジェネラティブ農業
自然と人間の共生を見出せる「リジェネラティブ農業」大地を再生する農法とは
リジェネラティブ農業とは、自然がもつ再生能力に着目した農業で、農地の土壌の改善、再生を目指しながら作物を栽培する手法です。健康な状態の土壌は、有機物を多く含み、野菜の生産力も向上させるだけでなく、多くの炭素を長期固定化することができるとして、世界的な注目を集めています。
リジェネラティブ農業の基本のスタイルは「農薬・化学肥料を使わない」「土壌を常に覆う」「できる限り耕さない」。大型機械で深く耕し、農薬や化学肥料を多用してきたこれまでの近代的農業で土が疲弊し、土中の生態系が破壊されてきたことの反省を踏まえて、できる限り土を撹乱せず、植物や土壌生物の力を生かし、有機物が自然と豊かになる「土壌の健康」を取り戻すことを目指すものです。 リジェネラティブ農業の特徴として、他に以下のことが挙げられます。 ✓農地そのものだけでなく、周辺の環境の改善にもつながる ✓化学肥料、農薬などの使用を最小化できる ✓家畜と作物の共生など多様な生物が共生できる 辻 リジェネラティブ農業の大きな特徴として、土壌の改善だけでなく、農家の経営の改善にも貢献できる可能性があることです。実際にリジェネラティブ農業を採用して業績を改善している農家は世界中に存在しています。 このように生産に対するありかたを見直すことで、環境の改善もさることながら、人間の経済活動も豊かにする方法が注目されています。 今では、農業のみならず、畜産、漁業の分野まで自然の再生能力を活かすリジェネラティブな手法を取り入れる動きが広がっています。
農家でも専門家でもない一般のわたしたちができることとは?
このように農業をはじめとして産業のありかた自体が変わろうとしている中、農家でも専門家でもないわたしたちができることはなんなのでしょうか。 1980年の創業以来、持続可能な視点を大切に企業に企画提案を行ってきた株式会社アイクリエイトの代表の粟田あやさんは、自身の体験とともに、個人個人ができることは、自分がいる世界への視点を変えること。そして学ぶことでリテラシーをあげていき、小さくてもいいから実践することであると語りました。 粟田 今、自分が食べているものがどこからきているのか、それをすべて理解できる人はほとんどいません。まずは知って、できることを小さくてもいいからやってみる。そこからみえてくる世界があり、そこからまた視野が広がっていくのだと思います。わたしも虫も触れないような都会生活をしていましたが、2021年の家庭菜園にはじまり、2022年からはコミュニティで畑をスタートさせ、自然の流れ、再生していく力、循環のようなものを体感することができ、さらに畑だけでなく周囲の環境への影響などを考えるようになり、どんどん視野がひろがってきていることを実感しています。今後は、畑という世界からもう少し広がってその先にある環境、例えば森や水脈に考えを巡らせ、そのためにできることを学び、実践したいと考えています。