<国会用語>施政方針演説と所信表明演説の違いは?
国会が始まると行われる首相の演説。実は、開かれた国会の種類やシチュエーションによって名称が違います。「施政方針演説」と「所信表明演説」です。15日に開会した臨時国会で安倍首相が行うのは所信表明演説ですが、よく似たこの2つの演説にはどんな違いがあるのでしょうか。
2つの演説の違い
どちらの演説も、衆議院と参議院の本会議で行われる点では同じです。しかし、以下の点で違いがあります。 施政方針演説は、首相が毎年1月に召集される通常国会で行う演説で、その年の内閣全体の基本方針を示すもの。一方、所信表明演説は、臨時国会の冒頭や、首相が選出される特別国会で行われる演説で、どちらかというと首相の個人的な考え方を示すものです。所信表明演説は、通常国会中でも首相が交代した場合には行われます。 施政方針演説では合わせて、財務相の「財政演説」、外務相の「外交演説」、経済財政担当相の「経済演説」も行われ、「政府4演説」と呼ばれます。所信表明演説の場合は、必要に応じて大臣演説も行われます。 ちなみに安倍首相は、第2次安倍政権においては、施政方針演説を2月に、所信表明演説は1月と今回の10月に行なっています。1月開会の通常国会で所信表明演説と施政方針演説が行われた変則的な形で、2月に新年度予算が提出された際に、改めて施政方針演説が行なわれました。これは自民党が政権奪還した総選挙の後に開かれた特別国会で、所信表明演説が行われなかったためです。
政府演説に対して行われる代表質問
こうした首相や大臣の演説に対して、国会議員が質問する機会が設けられます。これが「代表質問」です。代表質問は、各党の党首・代表や幹事長クラスの有力議員が質問に経つことが多く、政府演説とともにテレビでも中継されます。衆議院・参議院でそれぞれ2日ずつ行われ、質問時間は、基本的に所属議員が多い順に長く割り当てられます。 ただ施政方針演説や所信表明演説、それに対する代表質問も、憲法や国会法上の明確な規定があるわけではありません。また、政府演説も代表質問も、慣例的に衆議院から先に行われています。