「うん…」ではNG「いいよ!」でOK“性的同意”どこまで理解してる?4原則と法律のギャップ、冤罪リスクも
■「不同意性交等罪」施行で件数増加
昨夏に施行された「不同意性交等罪」の効果はどうか。元衆議院議員で弁護士の菅野志桜里氏は「夏に刑法が改正されて、性犯罪と認知された件数が増えた。今まで被害者なのか、訴えていいのかと迷っていた人が訴えられるようになったのは一つの変化」と評価した。反面、今後は冤罪のリスクもつきまとう。「同意が本当はあったはずなのに、後からトラブルになることもある。実際に起訴されても、一審で無罪になった例もある。訴えやすくなったメリットもあれば、デメリットの反作用もちゃんと見なければいけない。目撃者がいない、当人同士の水掛け論になる象徴的な犯罪なので、被害者側をケアする一方、本当にこれが立証できるのかというのは、かなり慎重に捜査する類いのもの。法律の網が広がった分、冤罪のリスクも増える」と語った。 パックンは、4原則と法律を分けて考えることの重要性を述べた。「同意の4原則が法律に含まれてしまったら、もう全ての恋愛がたぶん法律違反になってしまう。たとえば4原則の『対等性』の話であれば、一流企業の社長と結婚した瞬間、その社長は社会的名誉がかかっているから、すごく弱い立場。例えば自分の仕事を辞めて育児に専念するとしても、そこでもやっぱり頼る相手に依存してしまうから、もう対等の立場ではなくなる。(性行為を)断りづらい環境が今日あったとしても、明日明後日に変わってもおかしくない。それをいちいち合意性、合法性とかを審査して、それで何か嫌だって言って裁判にかけられたらもう恋愛どころか、きっと付き合いがゼロになる」。これには菅野氏も同意し「4原則は一つの目指すカルチャー、社会の姿としてみんなの頭にある程度共有できているといいよねというもの。一方で法律は、ここまでのことは求めていない、これを犯罪の要件にはしてないことは、しっかり分けてほしい」と語った。
■他人の性的同意、どうやって知る?
「性的同意」という言葉自体は広まりつつあるものの、実際に周囲の人々が、どうやって同意を取っているかわからない、というのも実態だ。ほたさんは「性的同意をどう取るのがスマートなのか、同意を取るのに雰囲気が変になるんじゃないかと気にするのは、サンプルが少ないから。他の人がどうやって同意を取っているのか私たちは知るチャンスがあまり少ない。恋愛ドラマでも、性行為のシーンはほのめかしで終わってしまう。丁寧に性的同意を取るところをもっと描いて、憧れ的な感じにしてくれれば、身近な人とも話題にしやすい」と提案した。ただ菅野氏は「ドラマや映画が社会のお手本のようになるのは抵抗がある。もちろんあってもいいけれど、映画やドラマは社会のルールを作るためのものではない。むしろルールの裏側を見せるところもあるので、お手本は別のところに求めた方がいいのでは」と慎重な姿勢も見せていた。 (『ABEMA Prime』より)
ABEMA TIMES編集部