「管理職には就きたくない」若者が半数以上。新世代が描くキャリアとワークライフバランスのありかたとは
世界中の雇用主は今、Z世代(一般的に1990年代後半から2012年頃に生まれた人々を指す)が職場にいることによる影響力を感じざるをえない。必要最低限の労働しかしない人たちを表した“静かな退職”や、“職場でのペルソナ”(仮面)を装うことなど、Z世代は仕事と自分の人生という2つの世界を完全に再編し、より公平な職場環境への道を開いている。 【写真】「ちょっと疲れた」「パートナーと喧嘩」「仕事がイヤ」で行ってもOK!誤解しがちな"カウンセリング"についてプロが解説 そんな彼らが切り開いた最新の職場カルチャーが、“意識的な管理職拒否”だ。これは、グウィネス・パルトロウが元夫でコールドプレイの人気シンガー、クリス・マーティンと離婚を発表した時に使って当時有名になった“意識的なカップル解消”の親戚にあたるニュアンスかもしれない。この言葉は、中間管理職にならない道をあえて選択するZ世代が増えていることから生まれた。 英リクルート企業ロバート・ウォルターズは調査からZ世代の従業員の半数以上(52%)が中間管理職になることを望んでおらず、16%が管理職になることをむしろ拒否しているという事実を報告。中間管理職の役目が魅力的ではない理由を調べると、給料が低いままであることや、その代わりになる条件がほとんどないことを指摘。Z世代の69%が中間管理職は「高ストレスの割に見返りが少ない」と答えた。 「Z世代の価値観はワーク・ライフ・バランスと自主性なので、もっと個人的なルートでの出世を好むのです」と、ロバート・ウォルターズのディレクター、ルーシー・ビセットは言う。「長年のうちに、管理職の仕事は高ストレスで要求が厳しいという評判が高まり、Z世代は中間管理職のポジションに気が進まなくなりました」 「Z世代は職場でのキャリアは最も短いにも関わらず、仕事への期待を主張することで有名です。個人の才能を目立たせる仕事をすることに重きを置く傾向があるのです」と言う。 自分より下のチームメンバーの仕事を監督することが期待される中間管理職になると、自分の仕事の最も好きな側面から逸れてしまう可能性もある。「出世の階段を登るより、自分にとって意味のある仕事につながりを感じ、自分のメンタルヘルスを維持することを若い世代は選んでいます」と、メンタルヘルス支援の専門家Wysaの主任心理学者スムリティ・ジョシは説明する。 「例えば、クリエイティブな仕事が好きな若いインテリアデザイナーは、自分が楽しめることから引き離されるとわかっているから、意識的に管理職にならないと決めるかもしれません」。 中間管理職に気が進まないのは、自分自身がひどい管理職にあたったからかもしれない。経営専門機関の勅許マネジメント協会が昨年行った調査によると、イギリスの労働者の3分の1は誤った管理体制やひどい上司が原因で仕事を辞めている。