WBA王者のマルティネスが26日の公開練習に続き、試合2日前の調印式をドタキャンした

プロボクシングの元4階級制覇王者の井岡一翔（35、志成）がWBA世界スーパーフライ級王者のフェルナンド・マルティネス（33、アルゼンチン）に大晦日に大田区総合体育館で挑戦するダイレクトリマッチの29日に予定されていた調印式並びに記者会見が中止になった。マルティネスは26日の公開練習も熱発でドタキャンしていたが、この日は直前に「明日の計量に向けてコンディションを整えたい」との理由で欠席する連絡が井岡陣営に入った。詳しい体調や減量の進み具合も不明。ドクターストップがかかる可能性や計量オーバーの懸念も残り、最悪、世界戦が中止という事態にもなりかねない非常事態となった。 【映像】辰吉ジュニアの壮絶失神KO負けシーン

　まさかの連続ドタキャンだ。 　東京都渋谷区のABEMAタワーに会見の机やマイクがセッティングがされ、JBCの役員も、世界戦の契約書とグローブチェックのための試合当日の使用グローブを用意して待機していたが、王者のマルティネスは現れなかった。 「明日の計量に備えてコンディションを整えたいとの連絡が入り、調印式は中止になります」 　志成ジムのプロモーター芳野一貴氏が事情を説明した。 　井岡陣営に連絡が入ったのは、調印式開始予定時間の20分前。すぐさま井岡にもマルティネスのドタキャンを伝えて、調印式には誰も現れなかった。 　7月に井岡を判定下した王者は20日に来日したが、合宿を行っていた気温28度の米国フロリダから気温7度前後の東京にやってきたため、寒暖差の影響を受けて体調を崩して発熱、26日の公開練習もドタキャンしていた。ロドリゴ・カラブレッセ・マネジャー兼トレーナーは、体温が37.8であることを明かした上で「微熱がある。療養中だ。ただ減量もパーフェクト。必ず試合はできる」と断言していた。 　その後の病状の回復については、詳しい説明はなく、芳野プロモーターも、「体温がいくらかとか、どういう症状出ているとか。基本的にはそういうところは聞いてない。彼らが言っていた通り、気温の変化によるものだということ。私たちは憶測ですけども、減量による発熱ではないかと考えている」と調印式をドタキャンした理由を推測した。 　公開練習のドタキャン時にカラブレッセ氏は、「これから病院に行く」と話をしていたが、実際には行かなかった。都内で大流行しているインフルエンザの感染の診断が出て、試合が中止となることを恐れた可能性もあるが、芳野プロモーターは「彼らの判断としてそれほどたいしたことはなかったようです」と説明した。 　調印式は、試合のプロモーションを兼ねた儀礼的なもので、すでに両者は正式な契約を交わしており、明日30日に行われる前日計量後のルールミーティングで確認されればOKで、試合の開催になんら支障はない。 　ただ明日30日に正午から都内で行われる前日計量を欠席すれば、世界戦は中止となる。志成ジムの二宮雄介マネージャーは「もし調印式に来なきゃ大変」という話をしていた。試合2日前の時点で調印式というオフィシャルの行事に姿を見せなければ、最悪中止の可能性があることを示唆していたのだ。 　その話を芳野プロモーターにふると「私たちはその可能性（中止）はないと考えて動いている」と願望も含めて中止の可能性は否定した。 　調印式に立ち会う予定で待機していたJBCの安河内剛事務局長も調印式の中止という異例の事態に困惑していた。