日本に「Fラン大学」は必要なのか…10年後の「大学全入時代」を前に考えるべきこと
「指定校推薦」の裏側
私大の経営をビジネスとして捉えるならば、最大の目標は「顧客の獲得」、すなわち学生の確保だ。つねに学生数が足りないFランク大学にとって、入学定員を埋めることは至上命題と言える。首都圏のFランク大学職員のB氏が入学者を確保するための「手口」を明かす。 「かつては中国や東南アジアから大量に留学生をかき集めて定員を埋めていました。しかしコロナ禍で留学生の確保が難しくなってしまったため、最近では『指定校推薦』を利用することにしています。他校よりも早く合格を出すと、意欲が低い学生は受験勉強を打ち切ってうちに進学してくれる。学生の質はどんどん下がっていきますが、背に腹は代えられません」 最寄り駅から歩いて10分、住宅街を抜けた先にある同大に足を運ぶと、平日の昼間にもかかわらずキャンパスに人影はまばら。授業中の教室から抜け出して喫煙所でタバコ休憩していた1年生に話を聞くと、進学した動機をこう話した。 「高校から推薦入試の枠をもらえたので、入りやすかったこの大学を選びました。両親は『大学でも専門学校でもどっちでもいい』という感じでしたし、授業もラクそうだったし」 一部の私大の暴走ぶりは、これだけにとどまらない。後編記事『「Fラン大学」の暴走が止まらない…! グレーな手段で補助金を受け取り、政治家とベッタリな大学も』では、さらなる実態を明かしていこう。 「週刊現代」2024年10月19日号より
週刊現代(講談社・月曜・金曜発売)