「公園や病院の屋上で実行」「落とした後はホルマリン漬けに」指詰めしたヤクザが健保使用で逮捕…いまだ続く極道の風習の実態
岐阜県警は10月10日までに、自ら切断した手の指の治療で、不正に国民健康保険の適用を受けたとして、六代目山口組弘道会若頭の野内正博容疑者(58)を詐欺容疑で逮捕した。 【写真あり】ピンクネクタイの司忍組長 野内容疑者は2023年2月、東京都内で指を詰め、過失によって負傷したと嘘の申告をして健保の適用を受けていたという。指詰めの治療で健保を利用し、詐欺容疑で逮捕されるなど前代未聞の事件だった。 ヤクザ界で古くから行われている指詰め。「さすがに昭和の時代の落とし前だろう」と認識しているとすれば、それは大間違いだ。じつは、今の時代でも公然と指詰めは行われているという。都内在住の暴力団関係者はこう話す。 「今も指詰めはやっていますよ。この前も、自分の兄弟分が組に迷惑をかけたので、公園で指を落としました。指詰めが風化したなんてとんでもないです」 ヤクザ社会ではどんな時に指を詰めるのか。暴力団関係者が続ける。 「仕事で下手を打って組に迷惑をかけたり、組長に借りた金を返さなかったりして不義理をした場合ですね。また、敵対する組に謝罪する場合も、指を落とすことがあります。 もっとも、いきなり指を落とすのではなく、最初は怒られて叩かれ、それでも“失態癖”が直らない場合は金を持ってこさせることもあります。そこまでしてもまた失敗を繰り返すと、指を落とすことになります」 要するに、指詰めは過失の責任を取らせるための、最終手段的な位置づけにあるようだ。では、一体どこで指詰めは行われるのか。 「指を落とす場所は様々です。公園や病院の屋上で落とすやつもいる。いずれも落とした後すぐに病院に行って止血や縫合などの処置をしなければいけません。その時の麻酔は何にも増して痛いですね。 落とした指はちゃんと拾って、持って行かないといけません。落とした指をなくすと、落とした意味がなくなりますから。病院で処置をした後、落とした指を持って、親分や相手方に行き報告するのです。それで初めて謝罪が認められる」 指詰めはどうやって行われるのか。 「大体、利き手の逆の小指から落としていく。最初は第一関節です。その後、さらに失敗を犯した場合、第2関節でもう一回落とします。 まな板の上に手を置いて、ノミを指に当てて小槌で上から、パーンと打ちます。良いノミじゃないとスパッと骨まで落とせないんですよ。ノミではなく、出刃包丁で落とす場合もあります。うちの親分の部屋には、それ専用の出刃包丁があります(笑)」 そうして落とされた指を、組長や謝罪の相手先に持っていくことで、落とし前は完結するという。ではその後は、落とした指はどうするのだろうか。 「落とした指は、ホルマリンで瓶詰めにして、事務所の冷蔵庫に入っていますよ。ホルマリン漬けにしないと腐っちゃうからね。瓶には名前と日付が書いてある。姐さんのところにずらっと置いてあることもあります。単に指を落とすだけでなく、謝罪の証拠として保管しなくちゃいけませんからね」 ヤクザが指を詰めれば、きちんと反省していると捉えられ、もめ事はそこで終止符を打つことになる。だが、昨今は指詰めに意味を見出さない場合もあるというのだ。 「落とした指をもらったって、何の得にもならないと考える組織も最近では出てきましたね。そんなことされるぐらいなら、金で解決してもらおうというのです。それでもせいぜい50万円ぐらいですね」 ヤクザ界ならではの風習もいずれはなくなっていくのだろうか。