【札幌記念】好相性の香港組・プログノーシスを中心視 伏兵候補はチャックネイト、函館記念から反転攻勢へ
1番人気未勝利
札幌記念は札幌競馬のハイライトであると同時に、夏の終わりをどことなく感じる重賞だ。本州より調整しやすい札幌で行われる貴重な定量GⅡは実績馬の始動戦にはもってこい。今年もプログノーシス、シャフリヤール、ジオグリフにエルムS2着ドゥラエレーデまで出走に踏み切った。天皇賞(秋)、ジャパンC、そしてブリーダーズC。そんな秋のビッグレースの名前がチラつく。さて、充実の秋を前に幸先いい滑り出しとなるのはどの馬か。今年も高揚感を感じざるを得ない。データは過去10年分を使用する。 【関屋記念2024 推奨馬】持ちタイムはメンバー最速タイ、マイルは安定感◎! SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) 毎年、豪華なメンバーが顔をそろえるGⅡながら1番人気は【0-4-3-3】複勝率70.0%と意外にも未勝利。2011年トーセンジョーダンが勝ってから12連敗中。とはいえ、2番人気【5-1-0-4】勝率50.0%、複勝率60.0%、3番人気【2-0-0-8】勝率、複勝率20.0%と波乱のイメージはない。実績馬の休み明けということもあり、必ずしも勝ちにこだわらないという分もあるか。それでも豪華なメンツがそろうGⅡとあって、穴馬が顔を覗かせるスキはさほどない。上位人気馬たちの実力伯仲の一戦でもある。 斤量差を生かせる3歳は【2-1-1-5】勝率22.2%、複勝率44.4%だが、今年は見当たらない。古馬勢は4歳【3-0-2-28】勝率9.1%、複勝率15.2%、5歳【3-6-5-29】勝率7.0%、複勝率32.6%、6歳【2-1-1-26】勝率6.7%、複勝率13.3%と5歳の好走数が多めながら、差はそこまでない。あくまで格を重視すべきレースだ。
海外組はドバイより香港
出走各馬の前走は香港、ドバイ、ダート、安田記念、前年菊花賞、そしてサマー2000シリーズと多岐にわたる。前走データをしっかり押さえ、優位なローテーションをあぶり出していこう。 前走海外は【1-1-1-12】勝率6.7%、複勝率20.0%。内訳をみると、香港クイーンエリザベス2世C【1-1-0-1】が目立つ。連対2頭は前走2着以内。昨年に続き2着だったプログノーシスはロマンチックウォリアーをクビ差まで追い詰めた。昨年・札幌記念の覇者であり、2000mGⅡ3戦全勝。正直、負けられない。3着に踏ん張ったノースブリッジも札幌に適した先行力が武器であり、簡単にはきれない。 シャフリヤールのドバイシーマクラシックは【0-0-1-5】。18年モズカッチャンの3着があるだけだ。ドバイターフ(ドバイデューティフリー含む)【0-0-0-4】も合わせ、ドバイ以来のローテは相性がいいとはいえない。間隔をとり、疲れをとった上での出走ながら、左回りの大きなドバイ(メイダン競馬場)と札幌のつながりもあるか。函館で調整されているシャフリヤールはBCターフが秋の目標。予定していた松山弘平騎手が騎乗停止で乗れないのは痛いが、武豊騎手を確保した。新たな野望に向け、結果を残したい。 国内GⅠでは安田記念が【2-2-1-5】勝率20.0%、複勝率50.0%。5着以内【2-2-0-2】、6着以下【0-0-1-3】なので、6着ジオグリフ、9着ステラヴェローチェはデータ上、苦しい。札幌で重賞初タイトルを手にしたジオグリフは思い出の地で皐月賞以来の勝利を手にできるだろうか。 サマー2000シリーズといえど、格がほかのレースとは違う札幌記念では、前走GⅢは【3-1-3-51】勝率5.2%、複勝率12.1%とそれなりに健闘しているものの、中心にできるほどではない。注目は当然、同じ北海道の函館記念【2-1-1-31】勝率5.7%、複勝率11.4%だろう。今年は3着アウスヴァール、6着チャックネイト、10着トップナイフがいる。 函館記念組は好走馬ではなく、6~9着【2-1-0-7】勝率20.0%、複勝率30.0%がいい。ハンデ戦、小回り、開催最終週の函館からコーナーが緩く、開催中盤の札幌で行われる定量戦に変わり、反撃を期する馬が狙いだ。6着チャックネイトは小回りに苦戦した印象がある。AJCCを勝った実力馬であり、札幌で前進する可能性は大いにある。 前走鳴尾記念も【0-0-2-3】複勝率40.0%と複勝圏内なら楽しめる。2着ボッケリーニは8歳ながら、今年も重賞2、5、2着。2000~2200mでは崩れていない。鳴尾記念ではヨーホーレイクとタイム差なしの1:57.2を記録。衰えは微塵もない。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
勝木 淳