通算200ゴールも視界に?!なぜ38歳の大久保嘉人はC大阪で蘇ったのか…逆転負けも“王者”川崎F相手に2ゴール
「相手ディフェンスの間に立ちながらクロスを狙っていたら、ボールが伸びたんですよ。その瞬間、キーパーとジェジエウがかぶってくれたので。その一瞬を突きました」 こう振り返った大久保は松田のクロスが予想外の伸びを見せ、ジャンプしたソンリョンが必死に伸ばした右手の先を越えた刹那の動きを完璧に見極めていた。ソンリョンがキャッチすると判断し、わずかにスピードを落としたジェジエウの隙を突いて、J1で最も屈強なセンターバックの前へ出た。 ボールがワンバウンドした直後に、左足のインサイドを合わせる大久保らしさが凝縮されたワンタッチゴール。2019年11月30日を最後に『185』で止まったままだった、J1歴代1位を独走する通算ゴール数を、柏レイソルとの開幕戦を含めたわずか2試合で『188』へと伸ばしてみせた。 先制ゴールを決めてセレッソを2-0の勝利に導いた柏戦で左足首を痛めた。レヴィー・クルピ監督も川崎戦当日の朝の状態を見て、大久保を出場させるかどうかを決める方針だった。しかし、通算で4年半所属し、その間に前人未踏の3年連続得点王を獲得した古巣と対戦できる喜びが痛みを消した。 「開幕戦で削られてちょっと痛かったんですけど、今日の朝になると何ともなかったので」 何事もなかったかのように懐かしい等々力陸上競技場のピッチに立ち、前半のキックオフのボールを蹴った瞬間に抱いた決意を、大久保はこんな言葉で振り返っている。 「チームとしてゴールがほしかったので、前半から体力を残さずにいってやろう、という気持ちでプレーしていました。その前半で2点を取れて終わったので、そこまではよかったと思っています」 後半開始早々に再びダミアンのゴールで振り出しに戻され、17分にはルーキーイヤーの昨シーズンに大ブレークを果たしたFW三笘薫に、ダミアンとのワンツーから逆転ゴールを決められた。これが決勝点となってセレッソは敗れたが、大久保は最後まで王者の脅威であり続けた。