浦和レッズ”18歳の秘密兵器”GK鈴木彩艶がベールを脱ぐ…ルヴァン杯で無失点デビュー
日本国内よりも先に世界を驚かせていた大器がついにベールを脱いだ。身長189cm体重91kgのサイズを誇り、2019年秋にブラジルで開催されたFIFA・U-17ワールドカップで大活躍を演じた浦和レッズのゴールキーパー、18歳の鈴木彩艶が念願の公式戦デビューを無失点で飾った。 敵地レモンガススタジアム平塚で湘南ベルマーレとスコアレスで引き分け、勝ち点1ずつを分け合った2日のYBCルヴァンカップのグループリーグ開幕節。聖書に登場する聖なる丘『Zion』にちなみ、彩艶と書いて「ざいおん」と読む名前をガーナ人の父、そして日本人の母から授かったホープが、最初にまばゆい輝きを放ったのは前半19分だった。 直接フリーキックの流れから、湘南のDF池田昌生にペナルティーエリアの外から強烈なミドルシュートを放たれた。低く速い弾道は雨で湿ったピッチでワンバウンドして、スピードを増してゴールの右隅へ飛んでくる。さらに前方にいた複数の敵味方の選手が、鈴木にとってブラインドになった。 反応がわずかに遅れたが、驚異的な瞬発力を発揮して横っ飛びでコーナーキックに逃れた。同27分には右ゴールポスト際を狙ってきた、FW平松昇の鋭く曲がり、急降下してくる直接フリーキックを猛然とダイブしながらセーブ。直後に「ナイス、ザイオン」とチームメイトの声が響き渡った。 最大のピンチは後半41分。再び平松が蹴った直接フリーキックを、ファーサイドに詰めたDF大野和成がマイナス方向へ折り返した直後だった。フリーで待ち構えていたMFオリベイラに至近距離から見舞われた、強烈なヘディングシュートに瞬時に反応。左手一本で阻止してみせた。 決定機を逃したオリベイラが天を仰ぎながら、悔しそうな表情を浮かべている。もっとも、試合後に90分間を通してもっともよかったプレーを問われた鈴木は、予想外の場面をあげている。 「後半の最初に蹴ったパントキックです。味方の選手にはつながりませんでしたが、あれだけのパワーがある、というところを見せられたと思っています」 後半3分になった直後だった。湘南の縦パスをキャッチした鈴木が、武器のひとつと自負するロングキックの封印を初めて解いた。狙いは敵陣の右サイド。しかし、追い風に乗ったボールはダッシュしていたMF大久保智明の頭上を大きく越えて、深い位置での湘南のスローインに変わった。