ダニエル・リカルドのF1キャリアは本当におしまいなのか? F1ライター陣が斬る
レッドブルのギャンブルは報われず損切りへ – Haydn Cobb
リカルドは昨年、かつての姿を取り戻すため、低迷していたニック・デ・フリーズの後任として旧アルファタウリに送り込まれた。ギャンブルではあったが、レッドブル陣営はそれに賭けた。 そして2024年もリカルドを起用し続けたのは、調子を取り戻してペレスが結果を出すことができなかった場合にレッドブルで代役となるためだった。 しかし今シーズン開幕8戦でリカルドが獲得したポイントはわずか5点。マイアミGPスプリントでの4位は称賛に値するが、基本的には角田に完敗していた。その壁は分厚かった。 レッドブルがサマーブレイク中にペレス続投を決め、代役を用意しないと決めた時、リカルド再起用のプロジェクトが頓挫したということは否定できない。 仮にレッドブルが冷酷なアプローチでRB/アルファタウリ/トロロッソのドライバーたちに接しているのであれば、リカルドとしてはサマーブレイク明けもチームガレージの上に自身の名前が残っているというのはラッキーなことだったはずだ。 それから4戦、リカルドはノーポイントとかつての姿は見られず、レッドブル首脳陣は解雇へ踏み切ることを心に決めたようだ。 またそこに拍車をかけたのが、ローソンとの契約におけるタイムリミット。陣営内にとどめておくには来季のF1シートを与える必要があり、育成プログラムの中で最もF1フル参戦に相応しい人材を失うリスクがあったのだ。つまりレッドブル陣営がリカルドをRBから降ろし、ローソンに全てを託すという選択肢は正しい決断なのだ。 とはいえ、リカルドにはシンガポールGPでの別れよりも、より相応しいお見送りの仕方があったはずだ。 私の同僚たちが雄弁に語ってくれたように、リカルドのいないF1は貧しい場所となり、パドックは笑顔いっぱいのジョーカーを失うことになる。スターを失うF1ドキュメンタリー『Drive to Survive』の制作チームにもご愁傷さまと言いたい。まずはハースF1からギュンター・シュタイナーがいなくなり、今回はリカルドもいなくなる。 関係者全員が寂しい思いをするだろうが、リカルドの態度や言葉から、リカルド自身とレッドブルの双方が損切りのタイミングを心得ていることがうかがえる。