ダニエル・リカルドのF1キャリアは本当におしまいなのか? F1ライター陣が斬る
シーズン途中の交代には値しない - Sam Hall
F1というスポーツ、そしてF1というビジネスには情緒が入り込む余地はないとよく言われる。リカルドをシーズン途中で解雇するという決定は、紛れもなくそれを証明している。 ファンからの人気は非常に高く、パドック内でも最も好感を集める個性を持つドライバーのひとりであるリカルドは、尊敬を持って見送られるに相応しいだけのことを成し遂げてきた。 確かにリカルドは今季の成績で2025年のシートを射止めることができなかったが、シーズン途中での解雇という不名誉を受けるほど悲惨な成績だったのだろうか? そうではない。 獲得ポイントでは角田に10点届かないものの、カナダGP以降のリカルドの調子はチームメイトを上回る傾向にあり、結果主義という業界の厳しさを責めることはできない。 将来を見据えて、陣営内の若い才能を評価するという理由には理屈が通ることは認めなければならない。しかし他のどのチームも行なっている通り、旧車テスト(TPC)やシミュレータを使用することで上手くいくのではないだろうか? 言葉にするのは辛いことだが、リカルドにとって今季がF1ラストシーズンであるという意見には同意する。しかしメディアから送られるファンファーレだけで、リカルドをF1グリッドから追い出す理由はない。 もしシンガポールGPがリカルドのラストレースであったならば、RBとレッドブルはレッドカーペットを敷き、その功績を讃えて、大々的にリカルドを送り出すべきだった。 それ以上に、ファンへきちんと別れを告げる機会をリカルドに与えることができたはずだ。そうすれば、F1キャリアが正式に終わりを迎えるのをただ待つためにSNSをスクロールし続ける必要はなくなる。 劣悪なマシンと、かつてのフェラーリのピットウォールからそのまま持ってきたかのような戦略把握能力では、今年のRBで達成できることには限界がある。ただハースがコンストラクターズランキング6番手争いで3ポイント差に迫っているだけに、この変更は大きな代償を伴うことになりそうだ。