ダニエル・リカルドのF1キャリアは本当におしまいなのか? F1ライター陣が斬る
ローソン起用は理に適っている - Ewan Gale
仮にリカルドがF1から去ることになれば、このスポーツは個性という点で寂しくなるだろう。リカルドの溌剌とした個性は、10年以上もパドックを明るく照らしてきた。 しかしF1は結果のビジネスであり、2021年イタリアGPでマクラーレンと共に優勝した以外は、2019年にルノーへ移籍して以来、リカルドのベストな姿を見ることができなかったと言っても過言ではない。 今やF1でトップに躍り出たマクラーレンでのリカルドの苦闘は、レッドブルにサードドライバーとして戻り、アルファタウリ/RBからF1復帰を果たしてからも克服されることはなかった。 今季はチームメイトの角田裕毅がリカルドを上回るパフォーマンスを見せることが多く、リカルドは十分な改善ができずに現在のポジションに留まっている。 交代人事が行なわれるのはアメリカGPだと噂されているが、シンガポールGP決勝日のリカルドの態度やインタビューでの受け答えがどうであれ、近い将来ローソンに交代させられる可能性は十分にある。 レッドブル陣営にとっては理に適った人事だ。レッドブルが自由に選択できるF1ドライバー候補がこれまでで最も少ないというのは間違いなく、セルジオ・ペレスが苦戦を強いられているにも関わらず、どのドライバーも親チームから彼を引きずり下ろすことができないという事実が、それを物語っている。 ローソンが来季、F1グリッドに並ぶことは確実で、リカルドが道を譲る可能性が最も高い。なら、ローソンにマシンに乗る時間を与えてみてはどうだろうか? 現在のF1では、シーズン前の公式テストが3日のみ。フィルミングデーやピレリのタイヤテストも制限を受けるという状況では、シーズン終盤にリカルドに代わってドライブするというのは、ローソンがチームに馴染む上で有益でしかない。 RBはリカルドが欠場した昨シーズンの5戦で代役を務めたローソンの実力を見たが、親チームでペレスの後を継ぎフェルスタッペンとコンビを組む可能性が高いローソンにとっては、さらなる経験を積むことはプラスに働くはずだ。 今のマシンの状態を考えれば、リカルドとローソンの交代はポイント獲得を念頭に置いたモノではない。レッドブル陣営とその将来にとって必要なことであり、その安定性が既にほぼ失われている今だからこそ必要なことなのだ。