「母の様子がおかしいんです…」急死した〈80歳父〉の遺産9,000万円を相続することになった家族。骨肉の相続争いを寸前で回避できた〈45歳長女〉のファインプレーとは?【相続の専門家が解説】
遺産分割の注意点とアドバイス
あらためて遺産分割について、整理しておきましょう。 相続人が複数いるときは、「だれがどの財産を、いくらくらいの割合で相続するか」といった話し合いをして、財産の分け方を決めなければなりません。財産の分配を「遺産分割」といいます。最初に、相続人を確定し、財産を確定して、財産目録を作成します。遺言がある場合は優先しますが、ない場合は、相続人全員が納得すれば、どういうふうに分けてもかまいません。必ずしも法定相続分どおりに分ける必要はありません。 財産は、被相続人の死と同時に自動的に相続人に移転します。しかし、そのままでは、相続人達は、相続財産全体を共有財産として所有しているにすぎません。個々の財産を各相続人の所有とするためには「遺産分割」をして、名義を隔相続人のものに変える手続きが必要になります。遺産の分割には決まった期限はありませんが、相続税の申告までに遺産分割が決まらないと配偶者の税額軽減の特例が受けられないことがあり、そのころまでに分割しておいたほうがいいでしょう。
遺産分割の方法はおもに3つ 現物分割・代償分割・換価分割
遺産を分割する方法としては次の3つがあります。 【1】現物分割…だれがどの財産をとるか決める方法で最も一般的な方法です。 【2】代償分割…ある相続人が法定相続分以上の財産を取得するかわりに他の相続人たちに自分の金銭を支払う方法。 【3】換価分割…相続財産を全て売却して、その代金を分割する方法です。 これらの他に、相続人全員で財産を共有する方法もあります。以上の方法を組み合わせることも可能です。また、遺産の共有、すなわち遺産を相続人全員で共有するという選択肢もあります。
遺産分割協議書の作り方
相続人同士で遺産の分割が確定した場合は、遺産分割協議書を作ります。遺産分割協議書の作り方には決まったルールはありません。 【1】相続人全員が名を連ねること 【2】印鑑証明を受けた実印を押すこと この2点に注意が必要です。そして、実印の証明とするため、印鑑証明書の添付も必要になります。