【解説】「想定を上回る事態」急増するインフル患者…A型が前倒しで早くもB型増加 “連続感染”の可能性も 「うがい」「手洗い」で基本的な感染対策を
日本医師会が、予想を上回るインフルエンザ患者の増加を発表した。 A型に続き、B型も早期流行し、医療が逼迫(ひっぱく)しているという。 2025年は例年にない連続感染リスクも指摘され、専門家はマスクや手洗いなど基本対策と早期受診を呼びかけている。 【画像】例年のインフルエンザ流行期と今シーズンとの比較
「想定を上回る事態が発生した」予想を超える患者が殺到
日本医師会は、年末年始に予想を上回るインフルエンザの患者が医療機関を受診したことを明らかにした。 日本医師会の松本吉郎会長は、8日午後3時過ぎに行われた会見で、「想定を上回る事態が発生した」と述べ、インフルエンザの流行は例年、年末年始で人の交流が減る時期に収まるものの、2025年は予想を超える患者が医療機関に駆けつけたことを明らかにした。 また、患者の増加にともない、検査キットや治療薬が不足しているとの声が上がっていて、せき止めなどの医薬品が慢性的に不足している現状などについて、あらためて国に対応を求める考えを示した。 そのうえで、マスク着用などの基本的な感染対策のほか、できるだけ平日や日中など、医療機関が開いている時間に受診するよう呼びかけた。
A型・B型が同時に流行…連続感染のリスクも
ここからは、今からできる対策について、日本感染症学会専門医の東京歯科大学・寺嶋毅教授が解説する。 青井実キャスター: インフルエンザが、最も流行するのは通常1月下旬とされていますが、今シーズンは12月中旬から急激に増加しました。そのほとんどが「インフルエンザA型」ですが、ここに来て「インフルエンザB型」の波も例年より早く来て、連続感染するリスクも高まっています。 ーー今シーズンは、インフルエンザの患者さんが多いのでしょうか。また、A型・B型の比率はどれくらいでしょうか? 東京歯科大学・寺嶋毅教授: A型が9割、B型が1割未満で、比率でいうと例年と同じですが、患者の数がすべての世代で多く、逼迫しています。特に小さいお子さんや高齢者など、インフルエンザ関係で入院している人が、これほど多いのは久しぶりという印象です。 青井キャスター: ーー寺嶋さんによると、インフルエンザの「例年の流行期間」は、「A型」は12月中旬~2月上旬で、「B型」は2月下旬~3月上旬となっています。しかし今シーズンは、「A型」が3週間前倒しになっています。「B型」も前倒しになってくるのでしょうか? 東京歯科大学・寺嶋毅教授: 12月は空気が乾燥していたので、ウイルスには好条件でした。2019年にも、年末年始にA型のピークがあって、B型も前倒しで流行しました。A型の流行が早い時期にB型の流行が早い年もあったので、2025年もそうなる可能性があります。 遠藤玲子キャスター: ーーきょうから学校が始まったり、受験シーズンになり、人の交流機会も増えていくので心配です。流行が早く始まった分だけ収束も早いのでしょうか? 東京歯科大学・寺嶋毅教授: 収束が早くなるとは限らず、B型は4月まで流行するかもしれません。 青井キャスター: ーーA型とB型それぞれのインフルエンザの特徴を教えていただけますか? 東京歯科大学・寺嶋毅教授: 基本的には、A型もB型もコロナも症状は同じです。強いて言うなら、「A型」は、急激な発熱が「より出やすい」。「B型」は嘔吐(おうと)や下痢など、消化器系に症状が「より出やすい」。B型は嘔吐や下痢が多いので脱水症状を起こしやすいという特徴があります。 青井キャスター: ーーA型にかかったあと、B型に感染することもありますか? 東京歯科大学・寺嶋毅教授: あり得る話です。 青井キャスター: ーーA型が治ったばかりの病み上がりの人がそのままB型に感染。さらにA型に2回かかることもありますか? 東京歯科大学・寺嶋毅教授: 2024年みたいに長い流行のシーズンがあったりすると、その可能性もあります。 青井キャスター: ーーインフル連続感染は、体に大きな負担がありそうですね? 東京歯科大学・寺嶋毅教授: 体力が回復しないうちに今度はインフルB型になると、体力面でつらいものはあります。日常生活への復帰に時間がかかると思います。 スペシャルキャスター パトリック・ハーランさん(パックン): ーー今は新型コロナ患者も増えています。コロナの症状もインフルA型・B型と似ているようですが、気をつけるべきことはありますか? 東京歯科大学・寺嶋毅教授: 症状だけですと、熱とか、せきとかも共通してますから、早めに受診されるということと、しっかりコロナの時の感染予防対策を思い出してやるっていうことかなと思います。 スペシャルキャスター パトリック・ハーランさん(パックン): ーー早めに検査もしてもらった方がいいですか? 東京歯科大学・寺嶋毅教授: そうですね。特にインフルエンザは、早く診断するとインフルエンザの抗ウイルス薬などの薬がありますから、周囲に広げないという意味でも早く受診した方がいいです。 青井キャスター: ーー今から「インフルエンザワクチン」を打っても有効でしょうか? 東京歯科大学・寺嶋毅教授: ワクチンが効くのは2週間から4週間後なので、インフルA型に期待は薄いですが、これからインフルB型の流行がやってきますので、今からでもワクチン接種をすることで、重症化を防ぐには一定の有効性があると言えます。
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