はやぶさ2の現状 JAXAが会見 (全文1)イオンエンジン出せる最高能力発揮
4エンジンシステムの実績
で、右下の表をご紹介します。これははやぶさ初号機とはやぶさ2でこの4エンジンシステムとしてどういった実績をここまで積み重ねてきたかを比較できるようにしたものです。まず上のほうですが、累積運転時間と書いてあります。その右の列にはスラスターA、B、C、D、4台搭載しているものをわれわれはこのAからDまでのアルファベットで呼んでおりますけれども、はやぶさやはやぶさ2のA、B、C、Dのスラスターがどれだけの運転をしたかというのを示しています。 Dの下にIESと書いてありますが、イオンエンジンシステムの略でして、ここでは少なくとも1台のスラスターが作動して探査機に加速度を与えている状態。これを私たち、動力航行と呼んでいます。ただ惰性で慣性飛行をしているというのとは違って、イオンエンジンで加速度を与えている状態ですね。それを動力航行と呼びますけれども、動力航行をした時間についても集計をしております。これがはやぶさのときには、当時の世界記録である2万5000時間を超える記録を出しているんですが、それに比べるとはやぶさ2はまだ4分の1程度の6000時間台を累積しているという状況になります。 その1行下ののべと書いたところは搭載したスラスターの運転時間を単純に足し算をした値になっておりまして、はやぶさで4万時間弱だったところが、まだその半分にもいってないということですね。運転時間としては、はやぶさ2は比較的短時間で小惑星まで到着することができております。この表にはありませんがご参考までにはやぶさのときのイトカワ到着までの運転時間、ここで言うとIESという欄に相当する数字は1万2000時間ほどでした。1万2000時間で小惑星に着いていたものが、今回は6500時間ほどで到着していると。小惑星の軌道が違うというような、さまざまな要因がありますけれども、今回はそういう時間ですということです。 その下の総力積と書いたところは、イオンエンジンが出す水力と時間を掛け算したものです。まさにこれはどれだけの仕事をイオンエンジンがこれまでやってきたかというもの。単位はメガニュートンセカンドというふうになっていますけれども、これについては総力積の一番下のIESというところを比較していただくと、はやぶさで0.94だったのがはやぶさ2では0.61ということで、これに関してはもうはやぶさの半分を超えているということで、時間的には短い時間なんだけれども、力積としてははやぶさよりも速いペースで積算していっている。つまり推力が増強されているということがこの結果としても見て取れます。 一番下の段は最大推力ということで、はやぶさ当時に7から8ミリニュートンだったスラスターが10ミリニュートン出せるものになっているということで、宇宙に打ち上げてから記録した最大の推力をここでは載せているということです。最大といってもほんの1秒、一瞬出た数字というわけではなくて、少なくともここの数字は1024秒間ですね。17分間の平均値なので、その間の毎秒の推力をずっと探査機上で計算をして平均値を出すというのがあるのですが、そういう比較的安定した状態でこの推力が出ているというのをお示ししたものになっております。以上がイオンエンジンのシステムとしての実績をまとめたものになります。