柔道・野村忠宏の引退会見全文4「未練はないです」
柔道・野村忠宏の引退会見全文4「未練はないです」 THEPAGE大阪
29日に行われた柔道・野村忠宏の引退会見。2時間弱に及ぶ会見では様々な質問がとんだが、ここでは「選手生活に未練は?」といった質問も飛んだ。野村はその質問に対し「未練はないです」と即答。「自分がやり尽くした上での決断」とも続けた。 関西テレビ:競技、柔道に対しての選手生活に未練というのは、今のお気持ちとしてはあるんでしょうか。 野村:未練ですか。未練はないです。もう、だから考え抜いて、自分がやり尽くした上での決断だし、柔道に、さっき言ったみたいに、未練っていう言葉が正しいかどうかは分かんないですけど、それはね、体がもっと動くんであればもっともっと現役としてチャレンジしたいし、強くなりたかったけども、最後、体が限界っていうの、体の限界ですから、その限界っていうのも本当にいろんな、トレーニングもそうだし治療もそうだし、いろんなものを試してみて、あがいてみて、ただ、もう全てやり尽くした上での決断だから、未練ではないですね。未練はない。もうやり尽くした。ただ、もうちょっとやりたかった。ここは難しいな。難しいですけど。うん。
オリンピックでの金メダルはゴールじゃなかった
関西テレビ:逆に体が元気であれば、まだまだ続けていくということですか。 野村:体が元気で本当に戦えるような、体が取り戻せるんであれば、これからまたトレーニング方法を変えて、治療方法も変えて1年後に、例えば1年という時間をかけて、体をつくり直して、その先っていうのを期待できるような状態であれば引退は表明しなかったです。ただもうその時間をかけても、これ以上柔道家として、現役として戦えないっていう、そういう判断があった、判断の下での決断だから、もうしょうがないです、それは。 関西テレビ:逆に現役にここまでこだわり続けた理由っていうのを、ご本人どういうところにあると思いますか。 野村:そうですね。こだわり続けた理由(笑)。うーん。こだわりつづけた理由。うーん、そうですね。 たぶんそれは、今日も先ほどから何回も話が出てると思うんですけども、自分にとってオリンピックでの金メダルっていうのは大きな目標だったし夢だったし、チャレンジではあったんですね。ただそれがゴールじゃなかった。オリンピックで金メダル取って、皆さんからね、ようやった、よう頑張った。そういうふうに皆さんにも喜んでもらえて、その瞬間っていうのは満足感に満たされたし、達成感に満たされたけども、それがやっぱり自分の柔道家としての、選手としてのゴールではなかったんだな。うん。苦しいけどやっぱり、ね、多くの本当に挫折を乗り越える中で、けがをすればするほど、年を重ねれば重ねるほど、苦しいものと向き合えば向き合うほど、柔道が自分の中で特別な存在になっていったし。 ただそれも結局やっぱ柔道への強い思いでしょうね。勝てばオッケー、だから、勝てば満足してやめるっていうもんではなくなったんですよね。うん。自分がどこまでできるのか、この自分をここまで育ててくれた柔道とどこまで向き合えるのか。本当にチャレンジ精神というか、うん。そういう気持ちにさせてくれたのが柔道だったんですね。 日本経済新聞:どういう選手を育てたいかっていうこととの関連なんですけども、野村さんって試合前に相手の研究をほとんどなさらないですよね。 野村:はい。 日本経済新聞:で、先ほどの組み手の反応っていうか、そういうようなことにもつながると思うんですけど、たぶんだからその場で臨機応変につくれる体でありたい、それが本当の自分の求める柔道で、それができなくなったからやめるんだとおっしゃってるように聞こえるんですけども。 野村:それもあります。はい。