柔道・野村忠宏の引退会見全文4「未練はないです」
後輩たちへのエール
日本経済新聞:それは、そこまでの自分を今、つくり上げられなかったという。 野村:そうです。中で本当に技術で考えたときに相手の右の奥襟を取られた。取られたんですけど、まずその時点で組み手の自分の甘さが、まずそこ組まれないために、そこのやっぱり甘さがまず出たっていうのと、うーん。本来であれば相手がそのね、反応として裏投であったり違う返し技っていうのも反応としてはね、全然ありですけど、来た瞬間に狙ってしまったんですよね。 日本経済新聞:狙う。 野村:狙う。あ、これに行って、自分が裏投にいってみようかなと。だから反応じゃなくて、頭で考えちゃったんです。その時点で失格ですね。 日本経済新聞:やっぱり、どういう選手であるかどうかを知らなかった。 野村:知りませんでした。ただ力が強くて、強引に技を掛けてくるっていうタイミングにね、払い腰とか、そういう系のものは、だいたい寝技もしんどいって話。それくらいの情報は知ってましたけど。はい。腰に手が入ってきたときに、自分の体を本当に10センチ、15センチでもいいから、横にずらすとかね。うーん。そういうその瞬間の防御方法、対処方法っていうのができなかった。 日本経済新聞:分かりました。ありがとうございます。 日刊スポーツ:引退発表をした24日なんですけども、世界柔道の60キロ級が行われた日で、それはたまたまだったのか、それとも後輩への何かメッセージみたいなものが込められているのかっていうのは。 野村:たまたまです。 日刊スポーツ:この世界柔道の結果、今回、金メダルもたくさん取ったんですけども、来年に向けて期待というか、柔道界、どういうふうになりそうだっていうのはありますかね。 野村:そうですね。本当にここ数年、軽量級、60キロ級、66キロ級、73キロ級が、本当に力のあるいい選手がそろっていて。けど、中量、重量級っていうのは若干ちょっとね、まだまだ甘いのかなっていう認識の下で見てたけど、今回、井上監督が率いる全日本のチーム、中量級も重量級も、各階級、本当に選手のみんな頑張っていい結果を収めて、おお、強くなってきたなって。来年のリオに向けていい形をつくれてきたな、いい柔道をつくれてきたなって、そういう目では見てましたね。 ただ、やっぱり、毎年開催の世界選手権と、4年に1回のオリンピック、これは別物。その認識っていうのは今回の結果で、浮かれるんじゃなくて、オリンピックは別物っていうそういう認識でさらに強化して、厳しい柔道やってほしいなって。