ベールに包まれたドラフト…隅田、小園が競合する可能性も
1位指名の最有力として隅田をリストアップしているようだが、1位指名を公表した西武をはじめ、ヤクルト、楽天なども候補に挙げており最大4球団が競合する可能性がある。 では、巨人はどうすべきか。松井氏は、こんな意見を持つ。 「巨人の補強ポイントの第一は誰が見てもピッチャー。だが、ここ2年のドラフトはうまくいっていない。いずれも1位指名選手をクジで外し、外れ1位で2年前は高校生、昨年は大学生を指名したが、まだ戦力になっていない。その教訓からどういう選択をするのか。左腕のナンバーワンは隅田。同じ腕の振りでストレートと多彩な変化球を操ることができてオリックスの宮崎大弥に重なる。即戦力として計算できるピッチャーだろう。だが、高校生でありながら即戦力としても他の1位候補とヒケをとらず将来性を含めた総合力で今ドラフトのナンバーワン投手は小園だと思う。ただ2人共競合にはなる。直前まで情報を集めてより競合の少ない即戦力投手を選ぶのも手だろうが…」 対照的に昨年のドラフトで大成功した阪神の戦略はどうか。昨年はドラフト1位で佐藤を引き当て、2位の伊藤将司がローテーションを最後まで守り8勝7敗、防御率2.67の成績を残し、6位の中野拓夢は、遊撃のレギュラーを奪いとり、124試合に出場、打率.273、35打点、43得点、26盗塁の大活躍を見せている。佐藤は後半に入り苦闘しているが23本塁打。3人のルーキーの存在が、最後まで阪神をヤクルトとV争いさせる原動力となっている。 チーム戦力としては余裕があるため、阪神でのスカウト経験もある松井氏は、「先発もそうだが、来年は岩崎優がやっているセットアッパーのポジションをしっかりと固める必要があるだろう。理想の1位指名は広島の栗林のような投手。ただ西、青柳、高橋、秋山、ガンケル、伊藤と6人の先発が揃っているチームだけに中継ぎの即戦力と将来性に重心を置いたドラフトでもいいのかもしれない」という見方をしている。 1位では、オリックス、ロッテなども狙っている小園を最大4球団の競合覚悟で指名するか、1本釣りの可能性を求めて中学時代から150キロを叩き出して話題を集めた剛球右腕の森木大智(高知)にシフトするか。直前まで検討が続くようだが、佐藤を引いた矢野監督の運にかけて小園で勝負するのがベストな選択となるのかもしれない。 12球団のうち1位での野手の補強をドラフトのミッションとしているのは中日だ。急成長中の長距離砲、ブライト健太(上武大)を1位指名する方針のようだが、時間を要する可能性のある選手。野手では慶応大の正木智也の評価も高く、投手補強に目を向けている他球団も、隅田、小園の外れ1位で正木をリストアップする可能性もあるだろう。もし2位で正木が残っていれば争奪戦は必至。ベールに包まれてスタートするドラフトだけにサプライズが起きる可能性も大だ。