どんな立地でも客を呼ぶ!旅の目的地になる“感動体験ホテル”とは!?
神々が宿る島で驚きのもてなしから~支配人がお米も自分で育てる
一生に一度は泊まってみたくなる注目の宿が九州の玄界灘に浮かぶ長崎・壱岐島にある。ここは旅好きの間では有名なパワースポット。干潮の時に数時間だけ参道が現れる小島神社など、150以上の神社が一つの島に集まっている。 【動画】どんな立地でも客を呼ぶ!旅の目的地になる“感動体験ホテル”とは!?
そんなスピリチュアルな島に、離島で唯一、ミシュランの五つ星を獲得したホテルが「壱岐リトリート海里村上」(1泊2食付き1人4万8000円~)だ。「リトリート」とは隠れ家のこと。一日12組限定で、夏の稼働率は8割を超える。 横浜から来た三宅弘高さん・則子さん夫妻は、旅の一番の目的は観光ではなく、「このホテルに泊まること」だと言う。 宿の売りの一つが1700年の歴史を持つ湯本温泉で、鉄分の多い赤褐色の湯だ。穏やかな波が模様を描く海も飽きることがない。源泉掛け流しの湯は露天風呂でも楽しめ、壱岐の塩やハーブを使ったスパも完備されている。ゆったりとした時間を満喫できる。 夕食の幕開けは壱岐のクラフトビール。さらに地元の食材を使ったご馳走が次から次に出てくる。年間900頭しか出荷されない貴重な壱岐牛のすき焼きに、玄界灘の荒海で育ったアワビだ。アワビはまず、しゃぶしゃぶで味わい、次に炭火で軽く炙ったら特製のアンチョビソースをつけていただく。ふと気がつけば、窓の外は自然の絶景劇場が広がる。 この「旅の目的地になるホテル」を運営するのが2011年創業の温故知新だ。温故知新はオーナーから施設を借りて運営にあたるビジネススタイル。唯一無二の個性的なホテルやレストランを全国に14施設手がけ、売上は23億円に達する。
「壱岐リトリート海里村上」でしか食べられない味を生み出しているのは支配人兼料理長の大田誠一だ。ウニの炊き込みご飯も「お客様が入られる時間に合わせてご飯を炊く」というこだわりがある。おいしい物を出すためなら手間を惜しまない。大田は実家の田んぼで自分で育てた米をホテルで提供している。 「『おいしかった』『また来るよ』と言われると、きつくてもやって良かったと励みになります」(大田) 食事を豊かにする酒も造った。壱岐は麦焼酎の発祥の地とも言われる焼酎の名産地。そこで地元の蔵元「壱岐の蔵酒造」と組み、壱岐の特産品を焼酎に漬け込み新たな味を生み出した。イチゴや柑橘だけでなく「ウニの殻を漬け込んだリ、温泉成分を入れたり。最初は『え?』と思いましたが、『ぜひやりたい』と」(「壱岐の蔵酒造」社長・石橋福太郎さん)。