どんな立地でも客を呼ぶ!旅の目的地になる“感動体験ホテル”とは!?
2年の試行錯誤を経て完成したのが「クラフトジン カグラ」(2970円)。もちろんホテルでも食事と共に味わえる。
わざわざ行きたくなる宿が続々~唯一無二でライバルと差別化
愛媛・松山市の山中にも温故知新が運営する施設がある。緑の中にたたずむコンクリート打ちっぱなしの建物。世界的建築家・安藤忠雄氏が設計した美術館をホテルに改装した「瀬戸内リトリート青凪」(1泊2食付き1人11万2266円~)だ。客室には装飾を排除した空間が広がる。湯船の半分を浅くし横になれるようにしている「フルフラット寝湯」付きの客室もある。 「瀬戸内リトリート青凪」は山の中にポツンと建っている。温故知新の創業社長、松山知樹(51)はこんなアクセスが悪い場所でも勝負する。 「あまりホテルの常識は関係ない。わざわざ行きたくなるかどうか。これだけです」(松山) 温故知新が手がけるホテルには客を満足させる為の工夫や手間が詰まっている。例えば、「温泉は38度希望。奥様はLサイズのパジャマ」といった具合に、リピーターをもてなす情報を細かく共有している。 「瀬戸内リトリート青凪」総支配人・下窪日登美は「お客様の情報が私たちにとって宝だと思っています。次に来ていただいた時に満足度を上げられるポイントになる」と言う。
貸し切りプールを照らす水中ライトの電球が切れたとする。サービス担当・俊野芳明はまず地下に降りて、直径60センチほどの穴に入っていく。迷路のような配管をくぐり抜けた先で交換。電球一個変えるのにこれだけ大変な思いをしなければならない。 だからスタッフはこのホテルのエキスパート揃いになる。 「大冒険ですよ。ドラクエの世界。やりがいはめちゃめちゃあります」(俊野) 他にも温故知新には唯一無二のコンセプトを打ち出したホテルが各地にある。 岡山・玉野市に作ったのは競輪場が目の前にある珍しい「ケイリンホテル10」。 レースだけではなく、練習する選手の気迫、努力を肌で感じてもらおうというホテルだ。 2024年、大阪・心斎橋にオープンさせた「キュヴェ・ジェイツー・ホテル オオサカ」はシャンパンを前面に打ち出したホテル。フランスの名だたる生産者と組み入手困難な銘柄も揃えた。寿司に合わせて5種類のシャンパンが味わえるディナーも用意されている。