どんな立地でも客を呼ぶ!旅の目的地になる“感動体験ホテル”とは!?
北海道の離島で新たな挑戦~リニューアルに向けて「初めての味」
創業から13年の2024年、松山が大きな勝負に出た。 向かった先は北海道の礼文島。もともと観光の島だったが、コロナの影響で観光客は3割近く減少。過疎化も進み、人口はピーク時の3割ほどになってしまった。 そんな礼文島で松山は、自社で初めてホテルを所有し、運営することにした。決断した理由は日本離れした景観だ。 「島ごと隠れ家。わざわざ来る価値がある眺めだと思います」(松山)
リニューアルオープンするのは海沿いにある「三井観光ホテル」。業績は堅調だったが、後継者不在で松山に声がかかり、2023年に取得した。 客室は全100室という規模。冬は観光客が少ないので、営業は5月から10月までという季節限定のホテルだ。 現場のスタッフからはさっそく「浸水を何とかしていただきたい」とリクエストが。厳しい冬、壁の中の水分が凍り亀裂が入ることもある。やることは山積みだ。 ホテルのリニューアルを任されたのが入社5年目の企画推進室・小林未歩。4月から住み込みでここに詰めている。過去には岡山の「ケイリンホテル10」を手がけた。自転車の部品を使ってリノベーションを行い個性をアピールした、企画室のエースだ。
小林は毎日、島中を歩き回り、客を喜ばせる素材を探している。漁師の竹野裕樹さんが水揚げしていたのは、北海道を代表する魚、真ホッケ。漁師料理のホッケのぬか漬け「ぬかほっけ」は、現地に行かないとまず味わえない料理だ。 興味津々で味見をした小林は、「おいしい。高級生ハムみたい。こんなジューシーなホッケは初めて食べました」と言う。「ぬかほっけ」はおにぎりとの相性が抜群。宿で出す献立のヒントを掴んだ。 竹野さんはその後、海へ。伝統的な漁法で名産のムラサキウニを獲っていく。利尻昆布を食べて育ったウニは島一番のご馳走だ。 「高いお金を払ってわざわざ足を運んでもらうまで、私たちの役割だと思います」(小林) 「観光客がもっと増えるとありがたい。期待しています」(竹野さん) ※価格は放送時の金額です。 ~村上龍の編集後記~ 変わった社名だ。「古きを温めて新しきを知る」という文字通りの意味らしい。宿は余っているというのが松山氏の考え。バブル期の過剰投資に始まり、つい最近までのインバウンドブームがさらに背中を押す形で、宿泊施設は供給過多が続いているのだそうだ。そういった宿の再生を、ひとつひとつカスタマイズする。気軽に泊まれる価格ではない。客は、自分の時間と金をどう使えば幸福感が訪れるかを考えている。そういう客は、これまで少なかった。ほとんどは皆と同じ幸福感に酔っていた。画一的な幸福感は、もう存在しない。 <出演者略歴> 松山知樹(まつやま・ともき)1973年、デトロイト生まれ。1998年、東京大学大学院都市工学修士課程を修了後、ボストン・コンサルティング・グループに入社。2005年、星野リゾートに入社。2007年、取締役に就任。2011年、温故知新を創業。 ※「カンブリア宮殿」より
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