2児の母・青木裕子が美術館に通って気付いた「育てたいと思う子どもの感性」
2人のお子さんの小学校受験を経験したフリーアナウンサーの青木裕子さんによる、日々の「子どもとの学び」を提案する連載「子育て歳時記」。小学校受験では、季節ごとの“植物”や“行事”について問われたり、生活力が問われるような試験がおこなわれます。365日様々なところにある「学び」のチャンスですが、慌ただしく暮らしていると意外と忘れてしまいがち。青木さんが子育てをするなかで、お子さんのために徹底的にリサーチをし、親子で一緒に体験した「学び」の数々を毎月シェアしていただく連載です。今回は、青木さんが好きだという美術館について。 【写真】青木さんの影響で「マティスさんの絵が好き」という息子さん そして、この連載に書きおろしマンガなども加えてを改編し、まとめた書籍『3歳からの子育て歳時記』も絶賛発売中です。青木さんが実践してきた「体験」の具体例や、小学校受験の大原先生による月々のアドバイスなどを掲載した、情報満載の一冊となっています。日々のお出かけや、休みの日の参考にもなるのでぜひご覧ください。
生活に彩を与えてくれる美術館
美術館に行くのが好きです。美術について詳しいわけではないのですが、美術館に行くのが好きなのです。 細かい解説が気になってイヤホンガイドを借りることもありますし、雰囲気を味わいたいだけということもあります。ゆっくりじっくり回ることもあるし、さらーっと歩いてみることもあります。気持ちに合わせた楽しみ方ができるのが、美術館の魅力だと思っています。 だから、長らく私にとって美術館は一人で行くところでした。それが、ここ最近、時々、息子たちを誘って一緒に行くようになりました。特に次男は、どうやら絵が好きなようで、誘うとついてきてくれます。彼には彼なりに好みがあって、写実的な絵よりも、ちょっとおもしろい形が発見できるような絵があるとわくわくするようです。私の影響もあって「マティスさんの絵が好き」なんて言っています。 とはいえ、大人の倍くらいのスピードでスイスイ進んでしまって、「もっとじっくり見ようよー」と言いたくなることもあります。でも、見方を私が指定すると、途端につまらなくなってしまうかもしれないと思い、ぐっとこらえます。歴史的背景なども含めて鑑賞していけばいつか勉強にも役立つかもなんて欲が出ないこともないのですが(笑)、こらえます。 少し前にママ友たちと、“本を読む人が減っている”という話から、結局様々なことが習慣に起因しているよねという話題になったことがあります。つまり、本を読む習慣が身についている人は、なんだかんだ読み続けるし、例えば月に一度くらいは映画館で映画をみたいとか、美術館に足を運びたいとか、そういう習慣が身についている人は、どんなに忙しくても時間を作りたいと思うものだ、と。 すべての人がそうだとは思いませんが、往々にしてそれは真実かもしれないと思います。そして、それならば習慣が身についている方が得な気がする、とも。 美術館に行って絵を見ることが何につながるのかと聞かれると、答えに窮してしまいます。私は、特に詳しくないので仕事につなげたいと思ったことはありませんし、教養と言えるほどの知識もインプットできていません。でも、「わー、この企画展行きたいなあ」という気持ちは私の生活に彩を与えてくれます。楽しめることは一つでも多いほうがいい。息子たちにも自分の人生に対してそんな思いを持ってほしいと願っています。 そうそう、子どもと一緒に美術館に行ってみると、思いもよらない発見をすることがあります。「そんな見方をするんだ」と子どもならではの感性に驚かされることも。こんな風に見なければいけないという決まりなんてないと私は思っています。親子で手をつないで、ふらっとお出かけに美術館、おすすめです。
青木 裕子