世界中の釣りオヤジの悩みを解決!? 神施設に学ぶ“そこそこ起業”の始め方 「この価格でこのサービスはアリ?」
確かにスーパーでは「おさしみのパック」のように下処理済みの魚が販売されていますが、その最終金額のうち、魚をさばくという工程の金額がいくらなのかは不明です。 売り場に並ぶ魚の最終価格に人件費として含まれていますが、商売上の慣例として、「魚をさばく」という単体の工程の価値は計算されていないのです。 要は1匹あたり、何円の代金をいただくのが妥当なのか、誰もわからないから、ニーズがあっても手が出しづらい状況にあるわけです。
ならばヴァティンの議論に基づいて、少し発想を変えてみましょう。 「今までにないサービスを提供する」のであれば、とりあえずそのサービスに「価格」をつけて初めて、お客様はそのサービスに価値があるかどうかが判別できるのではないでしょうか? 「釣人の駅」の場合、アジは1匹150円で下処理をしてもらえます。おそらく、この1匹あたりの価格には、明確な根拠はありません。 設備の維持費、光熱費、人件費などランニングコストの合計と、一日あたりに持ち込まれる魚の合計から、「とりあえずこれくらいなら採算がとれる」という経営者の予想や、「これくらいの売上がほしい」という期待に基づいて設定された金額でしょう。
決して、「アジをさばく」という労力や技術そのものに150円の価値が備わっているわけではありません。 ただ、「とりあえず」であっても1匹150円という価格を設定することが大事なのです。この価格が提示されて初めて、お客さん=釣り人は「下処理してもらう価値があるかどうか?」を判断することが可能になります。 そして、「魚の処理をお願いします」とお客さんが依頼した時、「魚の下処理」にサービスとしての価値が発生するわけです。
■「この価格でこのサービス利用する?」 「そこそこ起業」の実例の中には、ビル看板の広告費のように相場が定まっているものから、同人誌や自主制作のグラビア活動のように、価格そのものが曖昧なものが存在します。 後者のように、「ニーズがあるけど商品・サービスに明確な価格が存在しない」ものを商売にしていくためには、実はお客さんが買う価値があるかどうかを判断する「価格付け」をまず行い、サービスと金銭を交換する相場を作っていくことから始めていく必要があるのではないでしょうか。