全日本を75秒圧巻V…なぜ東京五輪女子ボクシング金メダリスト入江聖奈は「あと1年で引退」の決意を撤回しないのか
悩める入江は、引退後のセカンドキャリアを意識して、こんな発言もした。 「ボクシングを辞めた後にも何か取柄のある人間になりたい。どんな取柄?無難な答えかもしれないが、人間性。今は金メダリストの入江聖奈として見られ、もてはやしてくれる。でも、社会人になって、その称号がなくなったときに同じ対応をしてくれるか、と言うと、絶対そうじゃない。金メタリストでなくなってもみんなからほめていただける人間になりたいなと。すでに人間性ができている?全然です(笑)追い込まれたときに真の人間性が出る。余裕があるから、今は、いい感じに見えるだけ」 その謙虚さと、アスリートとしての探求心があれば、逆に大学卒業後に2024年のパリ五輪を目指しても大丈夫のようにも思える。東京五輪代表で、先の世界選手権のウェルター級で日本人初の金メダル獲得という快挙を演じた岡澤セオン(25、INSPA)は自らスポンサーを集め、“プロアマチュア”という新しい環境作りに挑戦している。金メダリストの入江であれば、何か従来とは違う新しい女子ボクサーの生きる道を見つけることができるのかもしれない。 彼女も「私は気まぐれなところがある。やりたいと思ったらやる」とエキスキューズしているのが、引退撤回の可能性がゼロではない証拠。 次なる目標は来年9月のアジア大会。 「アジア大会で金メダルを獲れたら日本初となる。また初めてを狙っていきたい」 そう力強く宣言した。モチベーションは今なお熱く燃えたぎっている。 大会MVPに選ばれたカエルが趣味のチャーミングな最強ボクサーは「コーラを思い切り飲みたい」と笑って会場を去った。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)