12年ぶりの首位に立ったセレッソ大阪はなぜ強い?
上位5チームが勝ち点5差にひしめく混戦状態となっているJ1は、先週末に行われた第18節をもって、今シーズンから新設された約3週間のサマーブレイクに入った。芳しくなかった開幕前の下馬評を覆し、首位で中断期間を迎えたのは昇格組のセレッソ大阪。J1の首位に立つのは2005年11月26日以来、実に12年ぶりとなる。 昨シーズンのJ2で4位だったセレッソは、J1昇格プレーオフを制して3年ぶりの復帰を決めた。もっとも、過去のJ1昇格プレーオフ勝者は全4チームが最下位に沈み、わずか1年でJ2へ降格してきた。悪しきジンクスをも吹き飛ばす快進撃は何に導かれているのか。ここまでの軌跡を注視すると、3つのキーワードが浮かびあがってくる。 まずは「継続」だ。J2に降格した2015シーズンからブラジル人のパウロ・アウトゥオリ、大熊清、今シーズンからはクラブOBで元韓国代表のユン・ジョンファンと目まぐるしく指揮官が代わってきた。そのなかで、一貫している部分もある。今シーズンを含めて、強化・編成部門のトップを元日本代表コーチの大熊氏が担っている点だ。 2015シーズンは強化部長、昨シーズンからはチーム統括部長を務めながら監督も兼任。FC東京監督時代と同様に、土台となる堅い守備組織を作りあげることからセレッソの再建を目指した。 「しっかりとした守備を作るには、どうしても積み重ねが必要になる。いろいろと批判される立場でしたけど、チームというものは一朝一夕にはできない。ユン監督もしっかりとした守備から入る、という僕との共通項がありましたし、J1での経験値や厳しさがいい意味での掛け算になればと」 過去にサガン鳥栖を率い、徹底した猛練習を介してリーグ屈指のハードワーク軍団に変貌させた実績をもつユン監督に、チームの完成とともにバトンを託した。もっとも、大熊統括部長はこうも語る。 「監督との兼任でやってきたからこそ、チームに足りない部分もわかっていました」 具体的にはセンターバックの高さと、サイドからのクロスの質。ユン新監督と意見をすり合わせた結果、187cmの高さをもつクロアチア出身のDFマテイ・ヨニッチを韓国・仁川ユナイテッドから、高精度のクロスとハードワークが武器のMF水沼宏太をFC東京からそれぞれ獲得した。