12年ぶりの首位に立ったセレッソ大阪はなぜ強い?
ヨニッチは16失点とリーグで3番目に少ない堅守の中心となり、空中戦の強さを生かしてセットプレーから4得点マーク。けがで長期離脱していた水沼は、今月2日のFC東京戦で同点&決勝弾の、8日の柏レイソル戦でも決勝弾をアシスト。単独首位浮上の原動力になっている。 次なるキーワードは「競争」だ。いま現在のメンバーのなかには、新チームが始動した1月の段階で計算外だった選手が2人いる。ハリルジャパンでも司令塔を務めた清武弘嗣は、欧州の冬の移籍市場が閉じる数時間前に電撃的に古巣セレッソへ復帰した。 清武の復帰希望をキャッチしたセレッソは、前所属のセビージャへ1月中旬にオファーを出したが、条件は大きく乖離。破談を覚悟しかけた矢先に、メインスポンサーのヤンマーが日本円で約6億円とされる違約金を用意。つまりはヤンマーから“借金”する形で、清武を迎え入れた。 残念ながら故障が多く、いまもリハビリを強いられている清武だが、チームに与える効果は試合のなかだけにとどまらないと大熊統括部長は言う。 「清武が入ったことで、練習のクオリティが一気にあがりましたから」 もう一人は、鹿島アントラーズから加入して2年目のロンドン五輪代表・山村和也。ボランチやセンターバックを主戦場としてきたが、ユン監督はキャンプ中にトップ下としての適性を見抜き、周囲にサプライズに映るコンバートを行った。 果たして、北海道コンサドーレ札幌との第3節から先発に定着した山村は、チーム2位の7ゴールをマーク。186cmの長身で前線にも高さをもたらし、攻撃から守備に切り替える際のスイッチ力、キープ力などさまざまな波及効果も与えた。ユン監督の慧眼に驚かされたと大熊統括部長も苦笑する。 「攻撃が上手いことはわかっていましたけどね。ただ、攻守両面で高さがあると相手は嫌がる。あとは清武の加入や山村のコンバートによって選手層が厚くなり、いろいろな競争が起こり、チーム全体のモチベーションも高くなっていますよね」