シェフの鶴の一声からはじまった「ドーナツもり(神楽坂・蔵前)」。3日かけて生地を作るフランス式ドーナツの魅力とは
“手間暇かけたい“想いで生まれた低温発酵&乾燥製法
3日間かけて作るふわふわもちもちの生地は、敬之さんが試行錯誤を重ねて生まれたものだそう。その工程には、美味しさの追求を続けるドーナツもりのこだわりが詰まっています。「生地の水分を抜けにくくするために、湯種を使った製法を採用しています。作った湯種は当日中には使えないため、1日目に作ったものを一晩熟成させる必要があるんですよね。2日目は生地を丸めて発酵に移る作業まで行うのですが、うちではパンの発酵温度として一般的な20~30℃もよりも低い4℃で発酵させるので、この工程にも一晩かかります。時間はかかるのですが、ゆっくり発酵させると、手早く発酵させた場合とはグルテンの膨らみ方に違いが出て美味しくなるんです」「従来の低価格で手ごろなイメージとは異なるドーナツを提供するために、“手間暇をかけて作る“ことは最初から決めていました。パンに使われることの多い湯種製法をドーナツに落とし込むのは簡単ではなかったですが…。時間をかけることへの躊躇いはなかったので、試行錯誤を始めてからドーナツもりをオープンするまでは結構早かったかもしれません」
受け継がれていく、ドーナツとフランス菓子への愛情
「ドーナツを作り始めてからも、毎日のように試行錯誤しています。家に帰っても、ドーナツやお店のことをずっと話していますね(笑)」と話す、敬之さんと智美さん。お2人にドーナツもりの今後を伺うと、少し意外な答えが返ってきました。「ドーナツもりをとても規模の大きな店にしたい、という願望はないですね。私たちのなかでは、あと一店舗くらいあればお腹いっぱいな感じです。それを現実にできたら、今度はまた新しいもの、ドーナツ以外のことを2人でまた始めたいと思っています。ただ、新たなことを始める前に、お店のスタッフに私たちのドーナツもりに対する愛情を受け継いでもらいたいとも考えています。今は、それを一生懸命やっているところですね」スタッフとの会話でも笑顔が印象に残る一方で、製造現場ではクリームのかき混ぜ方や煮詰め加減を真剣な表情で指導していた森さんたち。お2人と師匠によって生まれたドーナツは日々進化しながら、次の世代へその技と愛情が受け継がれています。 About Shop ドーナツもり(蔵前店) 東京都台東区駒形1-5-5 越圧ビル1F 営業時間:11:00-18:00(売切次第閉店) 定休日:なし ※両店とも大型連休(年末年始、GW、夏季)の営業日はInstagramにて告知 公式Instagram:@doughnutmori
ウフ。編集部 磯部美月