海外での認知不足を克服し、年率50%成長! 旭化成エレクトロニクスの新たなデジタル戦略
競合となる海外企業はデジタルマーケティングで先行しており、旭化成エレクトロニクスは後れを取っている状態だった。そのため、Webの強化と、さらに獲得リードの質を高めるためのMA活用など、取り組みを強化する必要がある。そこで、2023年にデジタルマーケティング部の再編を行った。
従来の環境に課題、CMSのリプレイスで地域ごとのローカライズを実現
井上氏がマーケティング部門に異動になったのは、ちょうどCMSの入れ替えを検討しているタイミングだった。検討の理由は、従来のシステムには以下のような課題があったためだ。 ・別のグループ会社のCMSプラットフォームに間借りしている状態で、自由な運用ができない ・HTMLを書くタイプのCMSなので外注に頼る部分が多く、品質・スピード・費用の面で課題がある ・グローバル市場に向けたWebサイトと言いながら、日本語中心のサイト構成 デジタルマーケティングを強化するということは、コンテンツを作っただけで終わりにせず、しっかり効果測定して高速にPDCAを回すということ。そのためには、自分たちだけでコンテンツ公開ができないCMSは望ましくない。さらに、認知獲得のためのブランディングという意味でも、自社らしいデザインや国ごとに最適化したエクスペリエンスなど、自由度のあるページを作りたい。
そこで採用されたのが、Adobe Experience Manager(AEM)だった。HTMLの知識がなくても使えるWYSIWYGエディタやブロックエディタの機能で、Webページを迅速かつ柔軟に構築、編集できる。これにより、ほぼすべてのコンテンツを内製化した。さらに、3言語(日、中、英)6サイトで、地域ごとのローカライズも実現した。
ローカライズではたとえば、「米国ではこちらの画像の方がウケがいいと現地担当者からアドバイスがあれば、米国向けサイトだけ使用する画像を変える」「この製品はこちらの地域では拡販しないとなれば、そのコンテンツは出さないようにする」などを行っている。