「低い山でも事故は多い」秋のレジャーに潜む事故!遭難のプロに聞く、クマだけじゃない危機
野外では気を抜かないで!
「まさか」が起こるのがアウトドア。特に秋の山には危険がいっぱいだ。
スズメバチに襲われる
巣に近づくと威嚇してくる習性を持つスズメバチ。特に10月ごろまでが危険だ。 「大人数で山道を歩いていて、巣があることに気づかずに近づき、集団で被害に逢うケースが頻発しています。刺されればアナフィラキシーショックで亡くなる人もいるので、ハチを見たら迂回するなど、絶対に近づかないで」(羽根田さん、以下同) 2、3匹でも見かけたら近くに巣がある可能性大。 「スズメバチには甘い匂いや黒い色に反応する習性があります。そのため、アウトドアへ出かけるなら、香水や制汗剤、黒い服などを避けることも身を守ることにつながりますよ」
一酸化炭素中毒で意識不明
テントや車などの密閉された空間で火器を使用すると、酸素が足りずに不完全燃焼を起こし、有毒な一酸化炭素中毒が発生するので危険。 「秋にテントの中で30代男性が亡くなっているのが発見された例があります。キャンプ用のコンロや使用済みの固形燃料などがあったことから、換気の悪い中で就寝し、そのまま一酸化炭素中毒を起こしたと考えられます」 テント内では登山用ガスストーブやコンロなど火器の使用は厳禁だが、やむをえず使う場合は、十分に換気をすること。
クマに襲われケガ
昨年に続き、今年もクマによる人身被害が増えており、登山中やきのこ狩りでクマに襲われ、死傷する事故も発生している。 「特に冬眠前の秋は動きが活発になります。目撃情報がある場所には近づかず、真新しい足跡やフンを発見したらすぐに下山を。音を出すクマ鈴やラジオ、笛などは必須です」 もしクマに遭遇してしまったら、距離がある場合は慌てて逃げ出さずにゆっくりと後ずさりし、その場から離れて。 至近距離でクマが突進してきたら、クマ撃退スプレーが最も有効だ。ない場合は、うつ伏せで両手を首の後ろで組む防御姿勢でやりすごすしかない……。
写真撮影で滑落
「私が聞いた中でさもありなんと思ったのは、山頂で仲間と記念写真を撮るときに、全員入らないからとカメラを構えながら後ろに下がって滑落した死亡事故です」 「そんなバカな」と思うかもしれないが、今年、富士山で亡くなった人の中にも撮影中に断崖絶壁から足を踏み外して滑落したことが原因になったケースも。海外では自撮り中に起きることが多いため、「死のセルフィー」と呼ばれる。 カメラの画面に集中してしまい、周囲の確認がおろそかになる行為は、自然の中ではとても危険なのだ。